またまた
「フィールドノートじゃないけれど」のコーナーがやってまいりました
09年10月21日(水)「 喫茶店“すぎ”の工夫 」

 仕事関係の研修で年に3回ほど訪れる京王線・八幡山である。改札を出てすぐ左手にある喫茶店「すぎ」は、とりたてて木造りとかいうわけではないのだが、どこか懐かしい感じのする外観だ。いつからの営業かは分からないが、昭和の匂いがする。マスターの白いワイシャツ、お嬢さんらしい女性の白の割烹着がまぶしくて、その家族の生活ぶりをついつい妄想してしまう。お嬢様の「知性の高さゆえの幸薄そうな面立ち」……失礼なフィクションである。
 朝飯は家を出る時きちんと食ってきているので別に腹は減っていないのだが、少々時間を潰したいのと“お目当て”がひとつ有って必ず入るようになった。注文するのは決まって「モーニングセット」である。そしてお目当てというのは、ズバリその「モーニングセットに付いてくる果物のオマケ」なのである。そのオマケが、実に季節を感じさせてくれる訳なのである。けっして上等の“おフルーツ”ではない。近所の農家で獲れたような“いびつなイチゴ”であったり、“あまり甘くないプリンスメロン”だったりする。気取ったところが少しもなくて、半分洒落でやっているのじゃないかと笑わせてくれる時もあるのだ。東京とはいってもこの辺はじゅうぶん田舎だから農家も多い。庭で成ったのであろう“柿”、“ザクロ”、“イチジク”などが出た時は嬉しかった。「アー、これから地獄の研修だ」という憂鬱な気分をやさしく吹き飛ばしてくれる。

「そろそろ“近所で獲れた固い柿”あたりが出てきそうだ」と想像して入った本日、それは薄いスイカのスライスひときれと、洋梨の小片のコラボでありました。ちょっとがっかりしたが……そういう時もある。喫茶店「すぎ」のやさしい工夫とは、こちらも大きな心で付き合わねばならないのである。




                




mk
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