オージャガジャガー、オージャガジャガー!

看板が超さびれている

けっこう歴史があるのだ

水はきれいではない

遊歩道はすべるのだ

沢の流れ込みもある

こうした開けた場所もある

水が多いと沈む遊歩道

ちょっと奥まったワンド

蓮も多い。6月が楽しみ

ここでは人が死んでるね

ここには絶対霊がいるね

ちょっと芸術的?

うっそうとしている

霊より怖いスズメバチ

一時少し天候が回復した

08年10月26日(日)「雄蛇ヶ池ロケハン他」

●雄蛇ヶ池ロケハン

 地図をボンヤリと見ていて、意外と近い場所に「雄蛇ヶ池(おじゃがいけ)」という池を見つけた。直線距離でだいたい6km弱だ。地図上であれこれと抜け道を探した結果、スーパーカブで走れば距離10km、時間にしておよそ25分と見込んだ。それが昨夜のことである。
 早起きをして体調を整え、カブのメンテナンスをする。web情報によると雄蛇ヶ池は結構古いバス釣りの歴史を持っており、関東のその筋では有名な池らしいのだ。中小規模のトーナメントが行われ、ランキングクラス(大きい魚、60Cm以上?)も上がるとある。そしてもう一つ、心霊スポットとしても名の通った場所で“とんねるず”のテレビ番組でギボなんたらがどうのこうのした……と詳しく載っている。わたしはブラックバス釣り(ルアー)も心霊写真の撮影も今のところやらないのでたいして興味はない。だいたい霊なんて糞食らえである。すべてテレビのヤラセとナメ切っている。そんなことよりだ、貸しボートがあるならカヌーが出せるかもしれないと考えたのだ。未だ我が愛艇「ファルホーク アミューズ4.8m」を浮かべる水辺を見つけられず、不甲斐ない。秋になると水上にでたくてウズウズしているのである。
 9:15、小雨・低温を押して雄蛇ヶ池へ向けて出発した。地図上で見つけた抜け道は、恐ろしくワイルドな峠道だった。ズルズル未舗装、倒木あり。案の定すぐに迷ってしまった。悪いことに峠で雨が激しくなり、さらに泥と石で転倒、左中指をしこたま打ち、腫れて曲げられなくなった。ヤバイ。
「霊をナメてると逆にひどい目にあいますよ、連れて帰ってこないでよ!」
 出がけに妻が言ったことを思いだした。「おまえのような軽薄・不純な奴は来るな」と言っているのだろう。あきらめて、いったん引き返すことにした。

 12:15、薄陽が射してきたので出直す。懲りないジジイだ。そこが取り柄だからしかたがない。が、今度は遠回り覚悟で幹線道路を行く。大網から128号、126号と繋いで飛ばすとあっさり30分で着いてしまった。あっけない距離だ。しかも「雄蛇ヶ池入口」の看板まで出ていた。
 池を一周する4.4kmの遊歩道を写真を撮りながら行く。雨ということもあり、池も森も道もジクジクと湿ってなかなかにワイルドだ。長靴を履いてくれば良かった、と後悔する。遊歩道も必要以上に整備されていないのが実にいい。金(予算)が少ないのが逆に自然を残すのに役立っているという訳であろう。鳥見・鳥撮りにもよさそうである。霊もたくさん居そうである。なんせ歴史があるからねえ、古びた水門の横に洞窟があったり、横穴住居跡のようなものがあったりと選りどりみどりである。魚が獲れる湖沼の回りには、必ずホームレス氏が住みつくものだが、さすがにここにはその余地はないようだった。木々の切れ間から時々バスボートがヌッと出現するのはいただけないが、今日は日曜である、無理もない。今度平日に来てみよう、静寂・深淵さはさらに増すはずである。遊歩道のゲートが夕方6時には閉まるので、ぜひそれ以降に。
 池を7周すると蛇女の霊に会えるらしい。が、会いたくもないしロケハンも1周で十分である。4.4km歩いただけで椎間板ヘルニアがキリキリと痛んだ。遊歩道の終わりに近い見晴らし台のところで、60cmぐらいのまだ若い蛇を捕まえたので、さんざんいじり回してから「彼女(蛇女)によろしく」と言って放してやった。ササッと逃げないで、1度振り返ったりしたので、背筋に鳥肌が立つ。
 わたしの目論見は大間違いだったようだ。「貸しボートがあるならカヌーもOKだろう」という予想は正反対なのである。営業妨害になりうる個人の持ち船がOKになる訳がないのだ。カヌーが出せるとしたら……南白亀川か、あとは海しか無いのだろうかなあ? しかしながら、九十九里には入り江が無い。



●ムカゴとアケビ

暗すぎて手ブレしました

ストロボたいてやっと写りました

ジャガイモのようなアケビ

これはムカゴ、けっこう美味い

 雄蛇ケ池はそれなりにおもしろかったが、なんか食い足りない。雨を押しての強行だった割には行動した気がしないのだ。写真はたくさん撮ったが“物(ぶつ)”の収穫が無いからだろう。と、考えたわたしは家には戻らず、そのまま裏山に直行した。目的は雄蛇ケ池でも少し獲ったが「ムカゴ」をもう少し獲りたいのと、かねがね目星を付けてあった場所での「アケビ」獲りである。かなり奥まった場所なので、おそらくまだ誰も手を着けていないはずだ。
 ムカゴは道すがら摘み取って、すぐにポケットいっぱいになった。今夜の酒のツマミには十分である。ほんの少し青臭いが、紙の封筒に入れて電子レンジで2分間チンすれば旨い。特に好きという訳ではないが、秋の年中行事としてひととおり食っておきたい。
 アケビは予想通り完熟していた。パックリと開いた口から、熟れた中身が見えていた。ほとんどが4mほどの所にぶらさがっており、獲るのは可能だ。ただもうすでに5時を回っており、薄暗いのと相変わらず雨が続いていたので難儀した。竹を切り出して一端を割り、細工をする。蔓を挟み込んで巻き取り、アケビをもぎ獲る作戦である。初めはなかなかうまく行かなかったが、そこはそれ、わたしは鹿児島の山猿である。30分もすると十分な数が取れてしまった。うまくキャッチできずにボトンと地上に落ちてしまった実からは、熟した中身が弾け飛んだ。わたしはそれらを指ですくい、口に運んだ。えも言われぬ不思議な懐かしい甘さである。小学5年の頃、アケビを獲っていた中学生が誤って竹の端を目に突きさして失明したことなどを思いだしていた。
 久しぶりに子供のように夢中になり、笑いながらひとりではしゃいだ。旨そうなところを選び、得意になって妻への土産にする。だいぶ遅くなってしまったので雄蛇ケ池で蛇女の餌食になったんじゃないかと心配している筈である。笑いながら帰宅するための必須アイテムでもある。わたしが野遊びに出かけた日は、妻はそれなりに収穫物に期待しているようなのである。わたしの単なる一人よがりのような気もするが。
 持って帰ったアケビを見て妻は言った。
「アケビってジャガイモみたいねえ」
 どうやら紫色のきれいなものを期待していたらしい。
「それはさ、果物屋で売ってる“ポポー”ってやつだろ?」
 妻はどうでもいいような顔で「ポポー(ほほう)!」と洒落てみせた。ひと口、ふた口食べてはみたようだったが、感想は無かった。のこりはきっと庭の肥やしになる運命だ。




              




mk
Yahoo!JapanGeocities topHelp!Me