小池女史の素敵な根性
08年10月12日(日)「小池ちゃんDAY」

「ハゼが大漁だぞ! 天ぷらが超美味いぞ!」とわたしがしつこく誘うものだから、若い友人二人がまた遊びに来てくれた。わたしが出向している会社の社員さんである金沢君と元社員である小池ちゃんだ。前回(7/30「ガイド失格」)小池ちゃんが完璧なボウズだったので、今回はそのリベンジマッチでもあるのだ。

 先日、型は小さいがハゼがたくさん釣れた南白亀(なばき)川河口の女子供用ポンドに案内する。わたしの持っている情報の中で、とりあえず必ず釣れると保証できる唯一の“読める場所”である。晴れている割には気温が低く、前日までの雨で水温もまた低そうなのがちょっと気にはなったが「大潮だから釣れるでしょ」などとわたしは訳の分からないことを言った。「なら、私も行く」ということで娘も合流する。交通事故から早1年半、まだ走れはしないが何とか普通の生活ができつつある。彼女にとってはおそらく3年ぶりぐらいの釣りではないだろうか。感無量だ。
 仕掛けと釣り方の簡単な説明をして、例によってそこから先は本人たちにすべて任せた。ただ今回は、アオイソメ(餌のミミズ)を3Cmぐらいにちぎって針に付けなければならない。ちょっと小池ちゃんに出来るかどうか心配だったが、しっかり軍手を持参してきていたのには笑った。今日もやる気満々である。素敵な根性だ。
 “あとは任せるよ”とは言ってはみたものの何やかやと手間がかかり、わたしが自分の仕掛けを放り込んだのは支度を始めて10分後であった。小池ちゃんがいきなり叫んだ。
「アレーッ、釣れちゃいました〜!」
「なんとなくそんな気がして上げてみたんだけど釣れちゃってました、アハ!」
「小さいけど、ぜんぜん引かなかったけど、私釣っちゃいました! ハゼです」
 わかった、わかった、そこまで嬉しいんだな、よかったよかった! と全員で祝福する。ま、何はともあれ、小池ちゃんに初の1匹を釣らせるという本日最大の目的はかくも簡単に達成されてしまったのだった。大漁の予感に俄然他の3人も熱くなる。が、小池ちゃん以外の3人の玉うきはピクリともしない。何かがおかしいようだ。金沢君は場所のせいにして小池ちゃんにジワジワと寄る。案外大人げない奴だ。
「またまた釣れちゃいました〜! 置いといたら釣れてました! アハッ」
「置竿の方がいいみたい〜、ゆっくり食べたい魚の気持ちなんちゃって、アハ!」
「ハゼってよく釣れるんだ〜! ピクピクッってしたような気もしてきたし、ウヘッウヘッ!」
 わかった、わかった、そこまで嬉しいんだな! 全員祝福しながらむかつく。神は今日という日を“小池ちゃんDay”にすることに既に決めているようだった。今回は科学的な工夫(秘密だ)を施した。仕掛けは全員同じはずなのだが、釣りとはかくも不条理なものなのである。

 日曜(体育の日?)ということもあり、さらに女子供用の便利な釣り場(駐車場から5m、トイレ、ベンチ付きという意味)なので、平日に比べれば信じられないほどの人出である(ピーク時20人ぐらい)。が、水温のせいか場荒れのせいかは分からないが見たかぎり釣れている人はほとんど居ないようだった。ポチポチとではあるが釣れただけ我々はまだましな方であったのだろうか。帰り間際になって小池ちゃんが海に落ちる(?)というハプニングもあり、まさしく“小池ちゃんDay”そのものとなり大いに笑う。全員最低2・3匹ずつ釣ってボウズは無し、早々に竿を納めた。海の釣りは魚を食って初めて終了である、という持論から一路自宅へ。4人で5時間釣ってハゼ12匹、フグ1匹、こういう日もあるのだ。(ほとんどこういう日ばかりだ、という意見もある)

 帰宅してすぐにハゼを開いてんぷらにした。15Cm超のものが2匹あったので熱いところをヒマラヤの岩塩を添えて二人に出す。金沢君と小池ちゃんの目が点になった。なんとかガイドとしての面目が保てた気分にはなれた。
「もっとたくさん釣れてると思ったから……困ったなあ」
 妻が天ぷらの衣地が余ってしまったと皮肉たっぷりにぼやく。が、マグロやサーモンのフライ、野菜天がそのあと続々と出てきたところをみると、彼女にはわたしたちの釣果がだいたい予想できていたということか。チクショウ。
   
「竿がギュイーンと曲がるような魚を釣ってみたいもんだなあ」
 わたしから10mほど離れて釣っていた金沢君と小池ちゃんの会話が頭の中によみがえってきた。それはわたしも同じの心よ、う〜ん……辛いところである。
 ふたりを駅まで見送ったあと、わたしは妻に礼を言うのもそこそこに部屋にこもり、Web上を奔走した。検索キーワードはもちろん「ボラの釣り方」である。冬場のボラはまったく臭みもなく、刺し身でもいけてチヌ(黒鯛)より美味いらしい。カラスミの作り方まで公開してある。5〜6年前、熊谷から秩父へ向かう途中の「がってん寿司」で食った、季節限定“ボラ寿司”の味もよみがえってきた。ボラ、ボラ、ボラ、ボラ……あっという間にウィルス性ボラ釣り症候群である。餌で釣るのはかなり難しいとあった。なおさら燃えるねえ。60Cm超のボラに備えて、丈夫なシーバス(スズキ)用の竿を1本注文した。




              




mk

金沢君は場所を変える

娘も粘り強い

金沢!新聞読むな!

最後は裸足だもんね!

それでも粘る小池ちゃん
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