2013年3月6日(水)「人体実験開始」

“炭を焼く男”であれば、いかにもアウトドアマンらしくて格好いいが、わたしの場合は“炭を飲む男”なわけであり、口の回りも鼻の穴も真っ黒で、はっきり言って気持ち悪い。飲んだ直後の口回りと、黒い排泄物の写真をアップしようとも思ったのだが「それだけは止めてケロ」と家族が懇願するので泣く泣く取り下げることにした。がしかしだ! これはわたしが身体を張って、同年代の人々の健康のために行う、立派な“ボランティア人体実験”なのである。

 ことの発端は、作家の村田喜代子さんのエッセイ「木炭日和」である。マイナスイオンを発する木炭に凝り始めた彼女は、部屋や押入れや風呂や庭にまで、それこそ家中に木炭を置いたのだそうだ。すると……彼女の表現によると「霊験があった」ということらしい。庭の飼い犬にまで顕著な変化が起こるのである。ちょっと抜粋させてもらう。
「……犬小屋にも同量くらいをダンボール箱に入れて置いてやった。というのも我が家の犬はアトピー体質で、そのうえ脂漏性皮膚炎に罹り脱毛が進んでいた。動物病院を転々としても治らないのだった。すると炭を与えた日から、犬が毎日カリカリと齧り出した。腹這いになって前足で炭を掴み、目を閉じてうっとりと齧る。(中略)犬の爛れた表皮が乾き始めたのは四、五日目からだった。病院の薬を止めて観察していると、やがて短い毛が生え出した。それからアトピー症状もその後一月ほどで消えてしまった。(中略)糖尿病や肝臓病の人が摺って飲んでいるらしい。昔は肺結核の病人も服用していたとも聞く。……」

 な!? すごいだろう? 今更わたしが人体実験などしなくても効用はすでに実証されていたわけであるのだ。後で分かったことだが、我が家の病弱猫“チョコ”は医者の処方を受けて既に製品版の活性炭を飲み続けていて、命を永らえているらしいのだった。パソコンで言うところのレジストリクリーナーみたいなものなのだと思うのだ。経年でどうしても溜まってしまっている滓(カス)や汚れを、その強力な浄化作用で取ってリフレッシュしようという目論見である。

 老目樫(ウバメガシ)の備長炭をセラミックの大根おろし器でガリガリと摺る。硬いから難儀だが5分も摺れば1回分の量ができる(2gぐらいだろうか)。それをコップ一杯の水で一気に飲み込むわけである。木炭のカケラはプチプチとした噛み心地、お菓子のポップロックに似ている。ザワザワ、モハモハ音がする口の中は微妙だが、匂いが無いのでノープロブレムである。さわやかに近い。
 椎間板ヘルニア以外、いまのところ内臓はどこも悪くはないが、59歳ですからねえ、相応になんかすっきりしない今日この頃なのである。アトピーまでは行かないが皮膚炎っぽく体中が痒い時もあるし、最近は花粉症もある。心臓・腎臓・肝臓・膵臓・脾臓……機能が少しずつ落ちてきて当たり前のお歳頃なのだ。
 「備長炭若返り法」っていう本が有ってもよさそうな気がするけれど……。見たことないなあ。

 最低1ヶ月は続けてみるべきだろうと思う。何が、どこが、何時ころから、どのように変化するのかウキウキしてしまう。人体実験は実に楽しいものなのだ。ほかにも色々忙しい。不可欠ミネラル“亜鉛”も試さなければならない。
 「健康フェチ」っていう名の病気だという説もある。




                  




mk
他人はそれを奇行と呼ぶかも知れない。しかし、それはわたしにとって自己改革紀行なのであった。
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