春はほんとにいいもんじゃ!
2010年 3月 8日(月)「 春を探して(リハビリ)」

 椎間板ヘルニアで相変わらず腰が痛い。一時に比べればだいぶましだが、1時間ほど座っているともう腰をまっすぐ伸ばせなくなる。伸ばさないと何もできないので無理に伸ばすが、この時がなんとも痛くて痛くて。立っているのはそれほどでもないので、電車では席が空いても立っているが、今度はかかとが痛くなってくる。体重を2Kgほど落としたがまだまだだ。まあ、こうして人はボロ雑巾のようになっていく訳やネ。

 で近頃は、家にいる時はなるべく横になっているようにしているのだが、そうすると体中の関節が硬くなってセメント野郎になってしまう妄想に陥ってしまう。長所か短所かはわからないが、わたしの本領は軟弱なところであるからして、硬くなってしまうのはいけない。ヘルニア用のコルセットをきつく絞めて出かけることにした。
「春を探しに行かない?」と声をかけると、妻はキョトンとして「リハビリでしょう?」と返した。

 車で15分の大藪池まで行く。適当な場所に駐車して林道を歩いて下り、池の周遊道にたどり着いた。池とはいっても浄水用のダムなのでかなりの大きさがある。一周4Kmぐらいだろう。途中にはわたしが勝手に名づけた「カケスの谷」などがあり、これまでもフィールドノートに何回か登場させた場所だ。
 予想通り、桜のつぼみは固くてまだピンクの色味も出ていない。標高100mぐらいはあるらしいので無理はない。目を閉じて満開の様子を想像しながら歩く。側溝に落ちそうになった。
 何種類かの野鳥たちとも遭遇。シメ、カワラヒワ、メジロなどだ。ウグイスがもう「ホー・ホケキョ」と本鳴きをしているのには驚いた。ジョウビタキのオスにも運良く遭遇したが、またしてもピントを外してしまった。この鳥とは本当に縁が無いのかも知れない。この世はすべて縁だ。
 鳥の話ばかりほざいていると、妻は園芸に役立つのだと言って脇の土手に登り、落ち葉をほじくり返して菌糸の綿(?)を探し始めた。庭の土の改良に役立つのだという。が、人目には野草泥棒である。わたしは離れて歩いた。
 カケスの谷の奥には湧き水があり、クレソンが自生する。「クレソンのおひたしって美味しいのよ」と妻が言うので少し採る。わたしは土もろくに落とさずバリバリとかじって「さすが天然ものは苦くないぜ」などと言いながら楽しんだが、妻にはそれはできないようだった。「きれいに洗わないと動物のウンコとか付いてるかも」とか言っている。妻は草花類は好きだがアウトドアのワイルドプレイは嫌いなのだ。動物のウンコを食うのも、まあそれもアウトドアならではの「縁」なんだけどなあ。
 田んぼの水たまりはヒキガエルとその卵であふれていた。もうとっくに冬眠から覚めていたんだなあ、とわたしは妙に感動したが、オスメスの激しい性のせめぎ合いがちょっとグロ過ぎたのか、妻は足早に行ってしまった。わたしはオスたちに「頑張れ!」と小声でエールを送る。

 1周して出発点に戻ると膀胱が満タンになっていた。カケスの谷の丸太のテーブルで家から持ってきたコーヒーをたくさん飲んでしまったからに違いなかったが、もう限界状態である。わたしは一応妻の手前、”野小便”を避けて公園トイレを探したのだが、ぜ〜んぜんどこにも無い。
「俺、立ちションしてもいいかな?」
「ダメよ!トイレを探して!」
「アウトドアじゃ、野ぐそ・野小便は当たり前だぜ!」
「ダメ〜!トイレを探してぐで〜!私だって漏れそ〜!」

 わたしは道路脇の笹藪に、妻は松林の奥に入り込んでそれぞれに排泄の喜びを味わった。林から出てきた妻に「ス〜ッとしただろ? 快感だったろ?」と聞くと「何かねえ……」と訳のわからない返事が返ってきた。
 子供の頃、田んぼで農作業中のおばちゃんたちが、尻をポンと出して用を足すのをよく見たものだ。わたしは見てはいけないものを見た気がして顔を赤くしたが、おばちゃんたちは屈託無く笑ってすぐにまた鍬で土を掘り返していた。今思えば、あれも季節は春だったような気がする。
 
 野小便と縁(経験?)ができた妻だが、今後アウトドア好きになる可能性は……おそらく……低い。
 



               




mk
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桜なんてまだまだだった。陽が当たらない。

カケス谷は温い。クレソンは湧水の回り

ヒキガエルの春はなんとなくエロい

ジョウビタキのオスに会えたのにピンボケ

菜の花の滑走路といったところだろうか。

摘んできた100%天然もののクレソン
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