8月31日(金)「 牛糞の香り 」

 犬の散歩でなんとか下半身の力は保てているが、いかんせん2ヶ月も遊んでいなかったので腕力がすっかり落ちてしまった。怠けるとすぐに筋肉は細くなる。加齢のせいか、最近その傾向がさらに強まった気がする。
 
 スーパーカブにゴムカヌーを積んで栗山川へトレーニングに出かける。サクサクッと膨らましてガンガンガンと漕いで、モリモリっと力こぶを作ってから、帰りにオライの道の駅でガツガツガツ〜ンと飯を食おうと思っていたのだがいきなりつまづいた。準備をしているところへ“暇つぶしサイクリングおやじ”登場である。

「どこから来たの?」
「バイクできたの!?」
「これ、いくらぐらいするの?」
「どこまで行くの?」
「漕ぐだけなの?]」
「へ〜、釣りはしないんだ!」
「今日は休みなの?」
「膨らますの手伝おうか? 遠慮しないで! 手伝うよ! ホース持っててあげるよ!」
「これ、杭とかで破れたら怖いねえ、破れるねえきっと、ぶんぶく茶釜だね」
「泳げるの?」
「死にそうになったことある?」
「仕事は何? リストラさん?」
「魚が嫌いだから釣りしないわけ?」
「車もあるの?」
「なら、鮭が遡る時にくればいいのに。ほんとはダメなんだけど2〜3匹ならみんな獲ってるし…ヘヘへ」
「イクラとスジコの違いは分かる人?」
 彼は立て続けに質問するのだった。ジモピー(地元民)との一期一会は大切である。わたしが全ての問いにまじめに答えている内に、潮がすっかり引いてしまった。現れた川底の泥の上をカヌーを抱えて流れのあるところまで運んで行った。これもまた実にいい筋力トレーニングではある。

 追い風に乗ってスイスイとゴム堰(5/16「川工事を見に行く」参照)まで行く。帰路、向かい風と上げ潮のため漕いでも漕いでも進まない。肩と腕の筋肉がピクピクと痙攣した。が、これを快感と呼ばずしてなんと呼ぼうや! ハイ状態を過ぎると、脳は突然クールダウンする。これが気持ちいいのだ。疲れの後の幸せ感、素直感とでも呼べるかもしれない。わたしにはこれが欲しくてわざと無理をするようなところがある。自分の中から己が嫌だと思う部分が全て抜けてゆく。何もしないで雲を眺めながら何処へ吹かれてしまってもいいかも知れない、などと考えた。
 
 だまされてたってじゃないか。12月には鮭を見に来よう。天然遡上ではなく放流されたものだろうが、それでも鮭たちはこの川の水の匂いを嗅ぎ分けて戻ってくるのだ。
 川面に牛糞の匂いが漂った。とても懐かしい気がした。おそらく、わたしいつか牛糞のもとに帰るのだろう。か?

 

 
               
 



mk
牛糞の川ではなくて、牛糞の臭いがする川って意味ですぜ!
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鹿児島生まれは暑さは平気

追い風に乗って出発

バイクに積めるのはこれだけだ

鮭」のために土手にして欲しい

木道なんて要らないのに
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