芸術は99.9999%の無駄の上に成り立っている
2009年11月3日(火)「文化の日には美術展」

 妻がやっているインターネット画廊の所属作家2名が都美館でやっている「近美展(近代日本美術協会展)」に出品しているので観に行くことにした。さらに2名とも受賞し今回「会友」に推挙されたので実にめでたい。勤め先の若年女子を誘い、美術館入口で落ち合う。
データは下記の通り。

  近美展  11月1日(日)〜12日(木) 於:東京都立美術館 第4展示室

  春山 うめ 「夏の終わり」  オリジン賞受賞
  颯田  靖 「あなたを忘れたことはない」 新人優秀賞

 同伴の若年女子はとても明るくてくったくがない。颯田さんの絵の前でポーズをとって写真を撮り、デジカメの後にさらに携帯電話で同じポーズを撮りまくったりしたので、ジジイとババアしか居ない会場では実に浮いてしまった。またまた颯田さんに後で怒られそうである。
 しかしだ、この若い2人の女性の作品ごとの講評(?感想)は実に的を得ていて面白かった。タイトルも受賞票も見ないで語るから、実にストレートである。その姿勢は正しいのだ。先に受賞票をみるともうそれだけでいい作品なんだと思い込んで観てしまいがちである。
「コバさん(わたし)、絵はどういうふうに観ればいいの?」
「好き嫌いで観るのが正しい」
「ふ〜ん…」
 真意が伝わっているのかどうかまったくわからない。つっけんどんなわたしを捨てて女2人で話し出す。
「この絵…きれいねえ、写真みたい」
「きれいだね、いっぱい色使ってるし。でも写真みたいにしたいんなら、写真で撮ればいいのにねえ?」
 なるほど、おっしゃる通りだ。あんたは偉い!
「あの絵の人の鼻、変じゃない?」
「曲がってる人がいたのよ。画家だもの、変だったら描いてる途中でいくらなんでも気付くでしょう!?」
 デッサン力の無い画家もこの世にはたくさんいるのだ。耳が痛いねえ。
 
 現代っ子だからわたしには解からない文言も多々有ったが、そこはそれ雰囲気で察しはつく。勉強になってしまった。真実を語ること以上の皮肉は無い。
 自分の娘より若い女性をエスコートし、飯を食い、会話に必死でついて行こうと頑張ったので、楽しかったけれどすっかり疲れてしまった。上野公園の雑踏をそそくさと抜け、帯状疱疹で療養中の妻のもとへ急ぎ戻る。美味しいご飯を早く作ってあげなければならない。若年女子の会話を話してあげてなんとか笑わせたい。帯状疱疹は泣きたいぐらい痛いのだ。展覧会を楽しみにしていたのに……。

「文化」の反対語はたしか「自然」だったんじゃないだろうか。このエコの時代にちょっと複雑な気分になった。誰かの言か忘れたが「芸術は99.9999%の無駄の上に成り立っている」というのがある。




                




mk
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「夏の終わり」
春山うめ   オリジン賞

「あなたを忘れたことはない」
颯田 靖  新人優秀賞

はしゃぎたい年頃なのにわざわざ来てくれて、感謝。

今どきピースなんかしないのかと思っていたのだが

最近ちょっとなよっとした腰つきになった
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