Birdland(バードランド)
07年12月15日(土)「 Birdland 」

 午後から時間ができたので、バイクを飛ばして「川口市自然公園」に行く。もちろんテレコン(TCON−17)を付けたデジカメ(FZ5)を持ってだ。20分で到着した。いつ頃からそうなったかはっきり覚えていないが公園中に猫がいっぱい居る。近隣の住民や散歩の人たちが餌をやったり、1匹ずつのマイホーム(小屋)を作ってやったりして甘やかすものだから最近さらに増えてしまった。新規の“猫捨て”も多いようで、ペルシャやアメショやロシアンブルー、チンチラ等何でもいる。そして不思議なことにここでは保険所の手入れがないので今や「公立キャットパーク」という訳である。保険所の猫狩りが無いのは個人的にはちょっとホッとするところだが、その数を見るとちょっと複雑な心境。犬だったら即刻「行政処分」だろう。
 猫は我が家に4匹もいるので写真対象としては興味が無い。しかもこの公園の猫は人を見ると誰にででもすり寄ってくる。腹をすかしているのはわかるが媚を売るのは“猫道”として褒められた行為とは言いがたい。
「おまえらには“節操”というものは無いのか、猫は食わねど高楊枝ってことばを知らんのか! 情けないなあ……」などと説教を始めたら「にゃ〜に言ってんのかにゃ〜このオジンはにゃ〜!」と本当に言ってみんな散って行ってしまったのでびっくりした。
 
 フェンスの破れた場所から公園の外へ出る。人の手がほとんど入っていない荒れ地が広がっている。背の高い枯れた草と蔓や潅木に被われて地面はほとんど見えない。幅30cmぐらいの“けもの道もどき”を薮の奥へ進んで行く。最近はその手の事件が多いのでボロボロの衣類などがそれらしい形状で捨てられていると遺棄死体じゃなかろうかとビビるが、実際そうであってもおかしくないような場所である。所々に3m四方ほどの畑のようなものがあるが、お百姓さんがやっているものなのかホームレスさんが勝手にやっているものなのか区別がつかなかった。おそらく後者であろう。

 赤い鳥が突然目の前を横切った。「ベニマシコじゃないだろうか」…わたしはにわか覚えの鳥の名をつぶやいて小踊りした。すばやくカメラを向けたがファインダーに入れる前に姿をくらましてしまった。証拠が何も残っていないので、その鳥はベニマシコだったことにする。次に、黄色と緑の柄の鳥が群をなしてこちらへ向かってきたが、わたしに気付いたのかちょうどYの字のように二手に割れて飛び去っていった。わたしは「クソッ!」と胸の奥でつぶやき、無駄なことだと知りながらファインダーを覗き、カメラを構え直して青空の写真を撮った。空の写真には鳥のとの字も写っていなかった。だからその鳥はカワラヒワということになった。
「あの辺から飛んできて、あの枝にとまったとして……」とブツブツと言いながら即写の練習をした。新しいオモチャ(変身ものとかの)を買ってもらった子供がすっかりその気になって「ヘ〜ンシン!」なんて言っているのと少しも変わらない。野鳥は動きが速いのでその後もファインダーに入れることすらままならなかった。………だから、今日は“ベニマシコ”と“カワラヒワ”と“イカル”と“ウソ”と、もひとつおまけに“ジョウビタキ”を見たことになるのだ。コマドリも見たかもしれない(悪乗り!)。SDカードの中には青空と叢(くさむら)と薮、枯枝と得体の知れない流れるようなマーブル模様の写真がたくさん残った。

 冬の夕暮れは加速度的に早い。あっと言う間に3時間ほどが経ち、気温もグンと落ちる。帰路につきかけると、目の前の木のてっぺんにジッとしたまま動かない小鳥がいた。距離は約20m、薄赤い夕日に照らされて肉眼では“ホオジロ”に見えた。野鳥としてはポピュラーなやつだし、ここに居てもおかしくはない。Birdlandの主がわたしにくれた“ラストチャンス”という名のプレゼントである。「逃げるなよ、逃げるなよ」とつぶやきながら20倍強のファインダーに入れる。目玉にフォーカスを合わすのが鉄則だそうである。シャカ・シャカ・シャカ・シャカと4連写する。「頭のてっぺんが少しだけボサボサしている様子が撮れただろうか」とまた連写、「オッ! いいポーズ、鳥は見返りポーズにかぎるぜ」とまた連写、「やっとカミさんに見せられる写真が撮れそうだぜ! シャカ・シャカ」合計30枚ほどのシャッター音を聞いた。「手ごたえ」というのはこういうものなのだろうか? 名ハンターは100m先の獲物を撃ったとして、撃った後その獲物の詳細が見えなくても、“手ごたえ”というやつで命中したかどうか分かるそうである。

 まったくもってド素人である。帰宅して写真を見直してみると、やっぱり手ブレしている。手ブレ補正機能がついているのにだ。。素人はやっぱり三脚と二人三脚でなければならない。さらに……わたしには「手ごたえ補正機能」も必要なようである。
「いやあ〜! 最後の最後にいいホオジロの写真が撮れたもんねえ……」などと自慢したのだが、よくよく調べてみると、この鳥はホオジロではなくてカシラダカであるらしい。う〜ん、勉強あるのみだ。

 
 


              




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