06年6月13日(火)「 足まわり 」

 来るべき盛夏に向けてカブの足まわりをいじる。スーパーカブのタイヤといえば普通は2.25−17(幅2.25、輪径17インチ)というタイヤが付いているのだが、それを幅2.75インチで悪路もOKのブロックタイヤ(溝の切り方がごつくて深い)に変えようというわけである。幅、厚みがメーカー推奨外のリミットぎりぎりなので車輪の再取り付けには多少難儀したが、先日の「レクチャーデイ」のおかげもあってか2時間ほどで掃除(メンテ)も含め作業は完了した。ほんとうはもっと短い時間で完了できたはずなのだが、途中でマンションの別室のガス漏れ警報器が鳴り出し、いつまでも鳴りやまず近隣住民が騒ぎ出したものだから、しかたなくわたしが不動産屋を呼んでその部屋の窓からジャンプ一番華麗に中に入り警報器を止める……といった大活躍をしたものだから2時間もかかった次第であるのだ。みなさんもバルサンをたく時はガス漏れ警報器のスイッチを切ってからにしてくださいね。余談だが平日の昼過ぎに我が家の近隣には男性がいないことがわかった。物騒なことだ、がモテモテのチャンスでもある。
 ま、そんなことはさておきカブのタイヤを変え、ついでにステップバーも青いアルミ素材の若者(バカモノ)仕様に変えて試走である。「フライで鯉釣り」のロケーション・ハンティングだ。気取ってどうする! ただの下見だ。

 カブの足まわりは数段良くなった。頑丈になった気がする。ブロックタイヤは砂利や金属片を弾き飛ばすのでパンクにも強く、安心して峠越えができそうである。太くなった分、乗り心地もいい。反面燃費は多少悪くなるが、それでも1リットルのガソリンで70Km(カタログ上は147Km)は走るのでフトコロにはやさしいし、実にエコロジーだ。
 グングンと走り、近所(とは言っても家から15Kmぐらいはある)を流れる芝川の土手を進む。草や粘土でスリップすることもないし尖った石を気にする必要もない。わたしはカブを土手に止め、丁度“乗っ込み”の時期なのだろう、川にあふれる鯉たちを見ながら充足の時を過ごした。
 
 キャンプ場に寄る。実をあらかた取られてしまった梅の木を見上げる。実はもう高い枝にわずかしか残っていない。わたしは木登りをすることにした。
「オ、なんだこれは!」梅の木に登りながら、わたしは自分の体が軽くなっていることを実感した。安定を確かめながら幹に足をかけ、両腕で頭上の枝をグイと引くと体がフワリと持ち上った。足が思った以上に上がる。イケルイケル、イケテルイケテル、ザマー見たらし団子だ。晩飯に米を食べなくなって1ヶ月半、体重が6Kg減ったのだ。足まわりが軽い。1.5mは上がる。わたしは高所の細い枝まで登り過ぎて落ちそうになりながらも、ズボンとジャンバーの4つのポケットを梅の実でいっぱいにした。硬い実だが梅酒にはちょうどいい。

 大宮市民霊園でゆっくりくつろぐ。花を見、蝶と語る。線香のにおいは心を落ち着かせてくれた。わたしはカブのタイヤについた泥を落しながら、今年の夏こそはこいつで日本海まで行ってみたいものだ、と思いをめぐらせた。
「そのためにはだなー、次はエンジンいじりだな。オイルにIXL(イクセル:金属表面改質剤)ってのを入れてみるか。エンジンが新車のように活きかえるらしい。そしてこの俺はだ……、ビタミンB1とB6とB12を摂りながらグルコサミンとコンドロイチンと低分子ヒアルロンサンで完璧のペキだ。この辺で気を入れて下半身を再強化してみるか! 50ヲスギタラマンマヨ〜リサプリメンテ! オ〜レ!」わたしは最後のところをジーコ監督の真似で巻き舌で言ってみた。
 足まわりの調子が良いとわたしの心には羽が生えるのだ。

 キョキョキョ・キョロッ・キョロッ、目の前の木で鳴くヨシキリ(鳥の名)の声は恐ろしく騒がしかったが、腹が立つどころか心地よく、わたしは墓場で1時間ほどうたた寝をしてしまった。夢の中で、わたしはカリブーとヘラ鹿を追ってカブで走り回っていた。履いているのはもちろんブロックタイヤだったが、場所はアラスカかと思いきやワールドカップのサッカースタジアムだった。ジーコの口真似をしたせいかもしれないし、他と比べて日本代表選手の足まわりにちょっぴり悔しさを覚えたせいかもしれなかった。
 
 

             




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