08年5月16日(金)「 行け行け勝賢 5 」
正直言って今回は実際には試合を観ていない。仕事の関係でどうしても都合がつかなかったのだ。“大ガヤ”が一人減ると困ると考えたのだろう、上司(勝賢の父親だ)もなんとかしようと努力してくれたのだが叶わなかった。ま、そういうこともある。
すまないと思ったのかどうか、上司が朝5時までかけてDVDに焼いてくれたので試合の様子は翌日には観れた。ヘッドホンを付けてギンギンの大音量で再生するとそれなりに臨場間は味わえるのだが、やっぱり現場で大騒ぎ(応援)しながら観戦するのとは訳がちがう。スッキリしない。ほぼ月に1度ではあるが、勝賢の母親と声の大きさを張り合うのは実にストレス解消になっているのである。そうそう、ヘッドホンで聞いていてこそ分かったことなのだが、今回母親が大狂乱大声援の合間にブツブツと呪文のようなものを唱えるのが聞いて取れた。韓国語のようであった。ウ〜ム、表面では意味不明の声援で狂乱しつつも、胸の内では母国語で神に祈る母親か……ク〜ッ、しびれるねえ! ……褒めすぎではある。
ハラハラドキドキ首の皮1枚で生き残った前回と違い、今回は安定した試合運びだったようだ。堂々3:1の判定勝ちである。たいしたものである。前回の幸運で腹を括ったのかも知れない。度胸が座った。ちょっと買いかぶりではあるが、“勝つボクシング”をするようになった気がするのだ。 他人ごとだ思って「KO、KO!」とか「ノックアウト勝ちは無えのかよ!」とか「パンチ力が無えんじゃねえの?」とか言う馬鹿がいるが、素人は黙ってろってんだ。「上に行くための条件として、必要最低限の新人王は必ず取る」という目標がある限り、1度たりとも負けるわけにはいかないのだ。地味でもいい、コツコツとポイントを重ねて絶対勝たなければ明日はない。「わんぱくでもいい、たくましく育って欲しい」の“丸大ハム”とは正反対である。……か?
これで東日本新人王戦ベスト8まできた。ここからが本当の勝負だろう。みんな伯仲した“実力”と“幸運”をもっている。
お忍び(?)で現WBC世界フライ級チャンピオンの内藤大助選手がすぐ隣の席に来ていたらしい。勝賢の所属するジムの選手とお知り合いなのだそうだ。
「お母さん、目立ち過ぎ! ちょっとうるさいですよう、ハハハ。みんな見てますよ。わたし、マスクまでしてして静かに隠れていたいのにい……」
「何言うてるか、とっくにバレバレ! 命張って自分の息子を応援して何悪いあるか!」
「命って……。それに今は……。大丈夫ですよう、お母さん。ね、休憩中は応援しなくても……」
「フンだ、勝〜賢〜! 勝ったカッタ勝ったカッタ勝ったカッタ勝ったカッタ勝った〜!」
「お母さん、お母さん! まだ試合は終わってないからね、勝った〜!はないよね」
「何言うか! チャンピオンも一緒に言うてよ〜! 勝ったカッタ勝ったカッタ勝ったカッタ勝ったカッタ勝った〜! 勝〜賢〜! ショウケン、ショウケン、ショウケン〜!」
「トホ…………」
と、まあそんな会話があったらしい。結局またまた応援団長は回りを超強引に巻き込んで“後楽園ホールのすさまじく楽しい夜”は過ぎて行ったのであった。
※この母親には「リングサイド10m以内に近づいてはならない」という禁止令が協会から出されている。本当の話だヨ。
それにしても内藤チャンピオンと握手をしたかったなあ。最高のネタだったのになあ。仲間の高橋 明さんなんか両手で握手してもらったらしいもんなあ。半分分けてもらいたいよなあ。次の試合にも来て欲しいよなあ。奥さんのマユミさんも連れてきてくれんかなあ。
mk