フィールドノート 2004
タタラ言ったでしょ! 暑すぎるって!
それを言うなら「ダ・カ・ラ」でしょ!
7月9日(金)   ワタカ釣り
 スーパーカブの距離メーターが29990Kmを示している。買って2年目ぐらいまで
は年間1万kmを走ってあちこち出かけていたけれど、ここ2・3年はすっかり意気地が
なくなって遠乗りをしていないせいか、5年でこの距離である。
 3万Kmを超えるのに相応しい場所はどこか、と考えた末に出した結論は群馬県の館林
市になった。多々良沼で「ワタカ釣り」である。
 ワタカは鯉の仲間ではあるけれど、フライでよく釣れるので「お遊びフライフィッシン
グ」にはうってつけなのだ。
 インターネットでワタカを検索すると、食用はおろか釣魚としての評価もさんざんなも
ので、いいことは何ひとつ書かれていないけれど私個人としてはお世話になっていること
もあって嫌いではない。
 私の性格からして、もしもワタカがいなかったら、フライフィッシングなどとっくに止
めていたかも知れないのである。近場の河川でフライで釣れる、特にドライフライに反応
する魚の数なんて知れているし、やはり釣れて初めて楽しさがわかるような部分もあるか
ら、好き嫌いどころか私はありがたくさえ感じているのだ。
 多々良沼から流れ出る多々良川では数年前まで25Cmを超えるワタカが割りと簡単に
釣れて、引きの強い魚ではないけれどさすがにそのくらいのサイズになるとズシリと竿が
しなり、それなりに楽しめたのだった。
 ところが河畔で県立美術館の建設工事が始まり、雉のいる藪と野原が潰され、川がコン
クリートブロックで護岸されてからというもの大型のワタカはすっかり姿を消してしまっ
た。ワタカはイネ科の植物を特に好み、活性が高い時などは水中で草を食む音が聞こえる
ぐらいなのだ。護岸工事で草が無くなればもうそこには住めなくなるのは当然なのである。
 美術館建立の是非を言っているのではないので悪しからず。
 で、今日はここのところの高気温のせいで(39度もありました)水温が上がりすぎた
ことも重なり、見事に釣果0の丸坊主でありました。木陰で昼寝というかフテ寝でもしよ
うかと思ったけれど眠っている間に死ぬかもしれないので沼の周辺を走り回っておしまい。
出直すことにする。
 顔見知りのジモピー(地元人)と話す。
「せっかく埼玉くんだりから来たのに、3・4年はかかるっさ」
 元通りの環境に近づき、また大きなワタカや鯉やヘラブナで川が沸き返るまで3・4年
かかると言うことだろう。ブラックバスさえ少なくなったのかそっちの方のアングラーも
めっきり減ってしまったようだ。
 帰路「茂林寺」に寄る。「ぶんぶく茶釜」縁の寺である。境内には何体あるのか分から
ないほどの狸の置物。正確に言うと置物と石像である。
 以前1度来たことはあるけれど、そのときは写真を撮らなかったので今回はホームペー
ジ用に撮影。参道の土産物屋はそれこそ狸だらけで不気味ですらあった。これで店のおば
ちゃんまで狸体型、狸顔だったりすると実に話の落ちとしては面白かったのだけど、おば
ちゃんは見事な魚顔だった。
 ワタカ釣りで魚の顔が拝めなかった代わりに、最後の最後に人間似の魚顔を拝めたとい
うわけだ。
 この日走った距離138Km、消費したガソリン2リッター、飲んだ水3リットル。
茂林寺
現在
5年ぐらい前の多々良