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「 梅日和 」   2005年2月4日(金)


 81歳のおふくろがパソコンを始めたいというので、先月の中頃に少し古いノートパソコンとプリンターを届けてやったのだが、さてさてどうなることやら。
「その後どう? いじってる?」と電話をすると、あまり歯切れのいい返事は戻って来なかった。
 とにかく大変なのだ。マウスを動かしてカーソルを思った所へ持っていく、ということが難しいらしい、さらに左右のクリックをいちいち考えながらやったりするので膨大な時間を必要とするのだ。
 ローマ字はわかるよね、という問いに対して「ローマ字は昔習ったから大丈夫、戦争中だったから、敵性語だったけど、やっててよかったあ!」などと言う。おかあさん! ローマ字は英語じゃありませんよ。
 で、パソコンで何をやりたいの? と聞くと「インターネットで色々病気の事を知りたいのと、メールってのと、デジカメで花の写真を撮りたい」のだそうである。納得である。
 それで、おふくろ様用のデジカメを買った。今日はその試し撮りである。

 梅の花を撮りたいと思った。で、この辺で一番早く咲く場所へカブを飛ばす。去年のフィールドノートを見ると、1月10日ぐらいには咲いていたという記録があるので、うーん、もうすでに少々遅いか?
 途中の休憩でカブを磨いたりしたものだから、再出発して気がつくとバッグごと途中で落としてしまう、というなんとも間抜けなハプニングもあったが、引き返して見つけだし、なんとんか事無きを得た。
 着くと、案の定、花はほとんど終わってしまっている。脇枝の多少新鮮さの残るいくつかを、つまみ撮りする。遠くから見ると白梅だと思われたが、寄るとほのかに桃色味を帯びた、いい花だ。
 人生の流れを「青春・朱夏・白秋・幻冬」といった4つの言葉で表すことがあるけれど、花の見頃にも似たような流れがあるのかも知れない。今を盛りに咲き誇る時期もいいが、こうしてポツポツと名残り惜しむような咲き方も胸にしみる。
「おれの人生は(白秋)ぐらいになっているのだろうか、それとももう(幻冬)に入ってきているのだろうか、(幻冬)は誤字で(玄冬)のような気もするなあ。そのあとには(妖怪期)というのもあると面白いなあ、などと考えた。
 暖かいのだ、今日は実に梅日和なのだ。