2023年06月07日(水)「釣り人を肴に酒を飲む」
栗山川に到着すると今日もまた干潮。川はあらかた干上がっていて釣りなどできる雰囲気ではない。蛇行の関係で対岸の堤防際だけが水深2mほどの深場になっていて、ボラなどが時折ジャンプしたりしている。ネモッちゃんとわたしは「W渡り鳥の会”は釣りの会じゃないけんね」などと言い訳しつつ(なんという為体!)「腹減った腹減った、限界!」とか言いながら、そそくさと準備をし肉を焼いて焼酎を飲み始めるのであった。まだ午後2時だというのにだ。
ふと目を遣るといつの間に現れたのか、対岸のその深場でしつこくしつこくルアーを投げているオッサンがいた。過去にそこら辺で釣れてる人を見たことがなかったので「釣れる訳ないって!」「生命の息吹がまったく感じられないって!」「ルアーじゃなおさら無理だって!」などと悪態とまでは言わないが、おもしろ可笑しく揶揄しながら、まあ肴にして飲んでいた訳だ。悪趣味とは思ったが、双眼鏡で覗きながらだ。
30分程経ってWのぞき”にもそろそろ飽きてきた頃、オッサンの竿がグイ〜ッと曲がった。
「何か釣れてるぞ」「オー、デカそうですね?」「シーバスかねえ?」「ニゴイじゃないですか?」「イヤ何か黒くて丸いね」「ナマズすか?」「いや丸い、タモ無いと上がらねえな」「タモ出した」「あらら、入れんの下手糞ですね」「あ、入った入った」「あ、ほんと丸い」「オ!黒鯛だ、クロダイ、間違いなくチヌ、35cmはありそう」「エーッ嘘!」
どっちがわたしで、どっちがネモッちゃんの台詞か想像していただくと微妙に可笑しい。
他人の釣りを見ながら酒を飲むのは初めてであったが妙に興奮した。フィッシングショーだ。テレビの釣り番組より面白かった。その後オッサンは黒鯛の長さを測り、写真に収めて魚をリリースした。ブログでもやってんだろうか。絵に描いたようなルアーフィッシャーマン。わたしたちは飲みながら立ち上り拍手をした。久しぶりに感動した。久しぶりに釣りをした?)気になった。
早く対岸の工事が終わらないかなあ、と思う。本来は向こうでキャンプしていたのだ。そう、飲みながら黒鯛を釣りたいではないか。
わたしの座右の銘は「横着」である。ちなみに妻の座右の銘は「棚からぼたもち」である。 |