生涯学習の一環として……
06年11月16日(木)「 生涯学習 」

 生まれて初めて、絵の公募展というものに出品した。住んでいる町の“小さな市民展”だ。一応入選、落選はあるらしいのだが、市の生涯学習の一環みたいな開催主旨もあるので、まあほとんどアンデパンダン展(無審査絵画展)に近い。出品者もお年寄りがほとんどだ。が、賞も県知事賞をはじめさまざまあるし日展出品者や芸代生、美大生の在住も多いので、この市民展自体の意識は高い(らしい)。応募してみようかな、と思った理由は審査員だった。「智内兄助(ちないきょうすけ)」という画家が同市に在住し、アトリエを構えているという誼(よしみ)で審査・講評をしてくれるというのである。まあ名誉市民的な存在でありみんなの誇りなのだ。智内兄助さんというのは大変な作家で安井賞(絵画界の芥川賞みたいなものだ)を2度も取っている。画業だけで食えている(おそらく)数少ない人気作家だ。プレイステーション「九怨」の絵などの他、ネット上にたくさん情報があるので検索してみてください。1度は目にしたことがある絵だと思います。
 わたしは版画家なので版画で応募したかったのだが、いかんせん時間が無く今回はアクリル絵の具による手描き画にした。描いていく内に焦りと妥協で黒くて暗い濁った絵になってしまった。結果は……、わたしの絵は先に述べた通り“生涯学習の一環”として展示され「がんばったで賞」も「ほんとうはめちゃくちゃ暗い人で賞」ももらえなかった。残念無念だがしかたがない。かなり強引に誘って、同じく初出品した春山うめさんは10号っぽっちの小さな水彩画で「農業協同組合長賞」というのをもらい、実力の違いを見せつけられてしまった。格が違う。市民展などに誘うんじゃなかった。
「絵の中に南瓜(かぼちゃ)があったから農業協同組合なんだわきっと、キャッキャッ! それに名前も“うめ”だしねえ、キャッキャッ!」彼女の他愛無さはうらやましいかぎりだ。一応“賞”が嬉しいらしい。
「俺も来年は本来の“くだもの絵”で農業協同組合長賞をねらってみますでサー、指導して欲しいでサー、先生」
「そうねえ……、いつもの“笑える絵”にした方がいいわよ、あ〜た(あなた)は」
 歳下の他人女に“あ〜た”と呼ばれる快感。
 
 作品の搬出日に智内兄助さんの講評がもらえるということで、わたしは仕事をすっぽかしてでも行きたかったのだがそれも叶わず、妻に無理を言って代理を頼んだ。智内先生は、代理人を立てるという失礼にもかかわらず快く応えてくれたらしく、帰りがけには妻とツーショットの写真まで撮らせてくれたそうである。
「他人の描かないようなものを描くというのは大切なことです」
 先生のコメントは簡潔なものだった。誉められているのか笑われているのかよくわからないがありがたいお言葉である。来年こそは駄洒落抜きの“くだもの絵”で挑戦しようと意を新たにするわたくしこと“フルーティー・小林”だったのだった。

 関係無くも無いが「身も心もフルーティーになろう」ということで「フルート」を買った(綴りは違うけれど)。商品名「S.M.フォークフルート」というものだ。歌口(吹く所)はまったく普通のフルートだが、指で押さえる所はただの穴である。フルートの音がするリコーダーのようなものである。これをアウトドアで吹こうという訳である。以前同じ目的で「クラリネット」を買い、挫折の後に「手造りポケットクラリネット」にも挑戦したが敗北した経緯がある。まあその二の舞であろうと自嘲したりもするが、もう歳も歳だからね「生涯学習の一環」ということで笑っていただきたい。この横笛のレポートは次回。




              




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