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最低、トップ単版のギターにすべし!

完成です

胡散臭い名前だぜ

単版って分る?

ブリッジは半分の高さ

穴を大きくするには

グローバータイプにした
2018年08月07日(火)「シグマギター・ バイ・マーチン」

 棺桶に片足を突っ込んでいるような年齢なのに、またまたギターを1本買ってしまった。8本目だ。あの世まで持って行けないのは分かっているが「私も側に置いてくれしょり」とか言われると、ついつい抱きしめて家に連れて来てしまうわけである。

 今回は八街市のリサイクルショップで見つけた。"シグマギター・バイ・マーチン"というメーカーの「DM-1」というギターである。1997年製のビンテージ物で税込¥9980也。
 手に取ると、バルサで出来ているんじゃないか? と思わせる程軽かった。トップはスプルース単板、他はおそらくマホガニー材の合板だろうがよく乾いている。パッと見、マーチンのD18だ。傷もほとんど無く、フレットの磨り減りも皆無。つまり、色は経年で飴色に焼けているがほぼ新品に近い状態なのである。ネックもまっすぐ。

 肝心の音はというと、歯切れもバランスも音量も文句無しだ。最近はマーチンのD28を普段使いにしているのだが、上品すぎて奏法によっては物足りない時がある。そんな時にこそピッタリといった感じの音である。マーチン8割、ギブソン2割のミックスサウンドぐらいか? シャリシャリではなくてガリガリのカッティング音が欲しい時もあるのである。

 このギターの存在、以前から知ってはいたのだが実物にお目にかかったのは今回が初めて。
 寺田楽器という非常に技術水準の高いギター制作会社があって、主にOEMでギターを作っていたのだ(勿論今も有ります)。つまり注文を受ければモーリスのギターもS.ヤイリのギターもグレコもマーチンもギブソンも作ってきたスーパー技術者集団だったわけである。
 で、このシグマギター・バイ・マーチンもアメリカの本家CFマーチン社監修の元に作られた廉価版マーチンという位置付けだったようだ。「シグマ」という名前はマーチンの「M」を横に倒して「Σ」にしただけのこと、遊び心たっぷりでこれは笑える。
 しかし、残念だがわたしが今日買ったギターはこの寺田楽器で作られたものではない。寺田楽器でこのDM-1を作っていたのは1970年辺りから1985年ぐらいまでだったと記憶している。その後は台湾や韓国で作られるようになり、現にわたしのもmade in koreaと明記してある。木材の質も多少落とされているようで、ネックに3ピースの集合材が使われているようだ。おまけに継ぎ目がヘッド部分にも有り、コレクションとしての価値は無い。まあ、音が良ければ何でも良いのだ。実用品の「当たり」ってことで素直に嬉しい。
 余談だが、香港や韓国に製作所が移ってしばらくすると「バイ・マーチン」が無くなって、ただの「シグマギター」になってしまった。マーチン社の検品に合格できなくなったのかも知れない。この辺の奴はもう買ってはいけない。本家CFマーチンを名乗る物まである。まがい物って別の魅力があるけれど……。

 ブリッジサドルをぎりぎりまで削って弦高を下げ、ペグ(弦巻)をまともなマシーンに交換して、さらにフレットの微細なバリを取ってしまえばかなり弾きやすくなるはずである。古いものだが弄り回すのが好きな人にはうってつけのギターかも知れない。見つけたら即「買い」だ。

「そうやって調整してさあ、老後はヴィンテージギターで商売でもすれば?」と妻はわたしをそそのかす。8本のうち何本か売るか処分しろと言っているのである。しかし、わたしは性格的に1度手に入れたものを手放すことが出来ない。ゴミ屋敷必須である。