男でござった

漂流物が無いぞ

海の平日

4月の見張り塔

小型の内田裕也
She see sea(シー シー シー)
07年4月27日(金) 「 She see sea 」

 世の中は明日からゴールデンウイークである。5月4日がオヤジの命日なので、例年それに合わせて2〜3日は休みを取っていたのだが、今年は色々と条件が合わなくて休みが取れなくなってしまった。わたしは現在(株)セコムという会社にいて、仕事自体は1日中TVモニターをながめながら「セコムしてますか?」と言っているだけの単純なものだが、人様が遊んでいる時にこそ生きる職種なのでGWなどは逆に忙しい訳なのだ。勤務中でも文章を書くことが可能(?)なので、わたしにとってこの仕事は悪くない、かな? さすがに絵は描けないが、作戦次第では……。
 話が逸れてしまったが命日に墓参りができないので今日済ませ、ついでに九十九里で潮風を嗅いでくることにした。

写真1、一人の女が杭に腰掛けて遠くを見ている。わたしは邪念を抱き、波打ち際まで歩いて、ひき返して来るとき顔を見てやろうと作戦を立てた。
写真2、波打ち際まで来ると、寄せては返す波につい童心に帰り、波とたわむれてみたりした。
写真3、心を躍らせてひき返すと、例の女は実は男だった。なんてことだ。思わせぶりなポーズなんか取りやがって。遠くに見える親子連れが妻子なのだろうか? 大きなお世話だ。
写真4、九十九里の海は太平洋だ。陸から海に強く風が吹いていたせいか、潮の香りはあまり感じられなかった。もしかすると、わたしの潮風のイメージというのは磯の香りなのかもしれない。もっと海草臭い海の方が好きかもしれない。九十九里は砂丘である。
写真5、私も行く、といってついてきた母は砂浜で軽石を探す。しかし軽石は無かった。わたしは母に教えるのだ。「軽石は火山から噴出したものだから、ここの海には無いんだよ。海岸に軽石が無数にあるのは鹿児島だけだよ」と。母はどこの海にも軽石があるものだと83年間思っていた、とつぶやき太平洋を見つめた。着ているもののせいだろうが白髪も手伝って“小柄な内田裕也”のようだ。老人は絵になる。

 1個210円の“さばカレー”を買った。“いわしカレー”も“クジラカレー”も“さざえカレー”も有ったが、開けて一番潮の香りがしそうなやつを選んだのだ。が、お・そ・ら・く……カレーの匂いが一番強いのだろうなあ、とふと思った。
 人生は“さばカレー”そのものだ。



              




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