「 なんとなくクリスタル 」

 長野県知事選でとうとう田中康夫現職知事が敗れてしまった。原因は色々と考えられるし、報道もされているのでわたしがとやかく言うつもりもないが水面に一石を投じるような役目も彼にはあったので、わたしとしては少し残念な気がしないでもない。
 田中氏が50歳、新知事の村井仁氏は69歳だ。「政治家にも定年を」という意見も多い中で、なんでいまさら逆行するのだなどと密かに思ったりもする。しかし「人間の判断力がもっとも正確かつ充実しているのは70歳代である」という実験データもあるので微妙だ。政治は判断力だけではないだろうが田中氏の立てる波風に県民がやや疲れ、落ち着いた頼れる雰囲気の村井氏に気持ちが動いたのかもしれない。タイミング的に岡谷市周辺の水害もあり、治水や環境整備を訴えた村井氏に風が吹いたとも言えるかもしれない。人の気持ちは柳の枝の如く揺れ動き、わずかな言動で大きく影響される。ダム建設再開というようなことにならなければいいが、と懸念している。

「なんとなくクリスタル」という小説で一躍有名になった田中氏の引き際は、やっぱりなんとなくクリスタルだ。本人がアホが付くぐらいピュアなものだから、利権目的で支持していた者たちは消えていった。もうひと押しでほんとに彼のクリスタルな部分が浸透したかもしれないものを、大衆はいつも待ちきれない。理念を掲げ続ける政治家がいてもいいじゃないかとわたしは思う。哲人政治がほんとうは理想的なのだ。いっそのこと議員の給料を0にして、それでも政治をやりたい者が議員になればいいんじゃないだろうか。
 田中康夫氏の今後の政治活動に注目したい。“選挙の根まわし”という意味ではない。
 




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なんとなくクリスタル