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人命第一浮き袋 | |||
2018年05月18日(金)「波乗り」 快晴ではないが雨は降らなさそうだ。5日に遊んだ分の塩抜き(海で漕いだら必ずやらないとフレームが錆びる)もまだやっていないというのに、今日も鵜原にカヤックを漕ぎに行くことにした。 遊びとは言え、近年とんとご無沙汰していた“向上心”のようなものが感じられて自身嬉しいのである。 もっと海に慣れたい、もっと上手に漕げるようになりたい、一漕ぎでもいいから遠く(沖?)へ行ってみたい、もっともっと心踊る何かに遭遇したい、あの岬の先には何があるのだろう、天国だろうか地獄だろうか……64歳、軟弱ジジイのヤル気スイッチが入った。 西城秀樹さんが昨日63歳の若さで亡くなったことをニュースで知り、わたしにももうそれほど多くの時間が残されている訳ではない事を自覚した。で(?)これからは毎回目的を持って真剣に、大切に遊ぶ(漕ぐ)ことに決めたのである。 ということで、今日のテーマはズバリ「波乗り」である。以前からやってみたかった事だ。 話はちょっと逸れるが“若い頃出来なかった事をやりきってしまう残りの人生”というのも悪くないなと最近思うようになった。 話、戻します。 海岸から200mほどの所に直径20mほどの岩礁があって、この辺のいい目印になっているのだが、そこからさらに100mほど沖に出ると高低差1mぐらいの「ゆったりとしたうねり」が常時有ることを前回発見した。おそらく海底の地形のせいだと思う。で、もちろん風の状態にもよるのだが、今日はそのウネリに乗ってちょっとサーフィンもどきをしてみよう、という訳である。 泳げもしないのに危ねえなあ……と我ながら思うが、実は最近直径1.2mの浮き輪を購入、密かに防水バッグの底に忍ばせてはあるのだ(笑)。そう、命が一番大事、命知らずのただの筋肉ジジイでないのである。アハハ。 一気に黒ケ鼻手前まで漕いでゆき、右から左へ進んで行く大きなウネリにひょいと飛び乗ると(簡単に言うけどかなりの腕力と度胸が要った)、今まで経験したことのないスピードでカヤックが走り出した。いや? 滑り出した。 やや前傾で落ちて行く感覚もあり、とても不思議な感じだ。いつも開いている訳じゃないが、ケツの穴がキュッと閉まる。 サーフカヌーというものが面白いらしいが、こんな感じなのだろう。 海上では風向きがしょっちゅう変わるので(小さなつむじ風が無数に起きている感じ)、かなり真剣に状況を読まないと危険だ。真横からの風と波に細心の注意を払いながら、何度も水の滑り台を楽しんだ。 フレーム補強の効果がここでも絶大。船体布がぶれずびくともしない。方向転換がとてもしやすくなった。このカヤックは今でも時々安値でオークションに出るが、手に入れた方は是非フレームの補強を最初にした方がいい。全く別の、いや上位機種並の性能になることを保障します。 一通り波乗りに満足したので尾名浦海岸に上陸。眼鏡岩で人気の小さな入江だが、平日とあって嘘のように静か、ジジイは浜を独り占めにしてのんびり寝そべってバナナを3本食った。至福。 腹が満たされるとストイックさがやや翳る。ここでカヤックをバラしてキャリアカーを引いて戻ろうかとも思ったが、やっぱり男はそんな軟弱なことを考えてはならないのだ。 往きはヨイヨイ帰りは恐い……、強烈な逆風の中を力勝負でがむしゃらに漕いだ。思う方向に簡単には行けないので、途中でお仕事中の海女さんに睨まれたり、釣り人に心配されたりしながらやっとの思いで出発地点に戻った。「生還」という言葉が浮かび、暫く浜にへたり込んだまま呆然とする。 「風が急に強まってなあ、うちらも恐ろしくなってもう上がることにした」 沖で会った6馬力エンジンを積んだボート釣りの2人組も、直後に浜に到着。エンジン付きとは言え3m強しかない小型ボートだけに無理もない。しかも重量があるから波乗りは不得意だろう。お互い危険から逃れて気が緩んだ顔をしている。 ふと“聞いてよ〜雰囲気”(?)を感じたので近寄ってニッコリ笑って聞いてあげた。 「大物が釣れましたか?」 「いやあ、全然だ。見るかい ?」 クーラーボックスには数匹の小アジと45cmはあろうかとおぼしき大型のヒラメが入っていた。 「今夜はこいつで一杯ですね?」 「まあ、そういうことになるかねえオッホッホ」 “釣りはライフワークだ”と豪語していた頃もあったが、最近全くご無沙汰である。 次の目標は釣りか……?、いやいや、まだそんな余裕はどこにも無い。漕ぐので精一杯だ。 「アンカー(錨)が有ればいけるよ、やってみなよ!」 成田の2人組みが手を振って去って行った。 アンカー(錨)が必要かあ……、買っておいてもいいかなあ。アジか……、刺身が旨いよネエ……。 |
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