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２０１４年０６月２６日(木)「 生録 」
誠にだらしない話なのだが、新居に越してきて７年目だというのにまだ開けていない“アリさんマーク”の段ボール箱がいくつかそのままになっているのだ。それらのほとんどはアナログレコードだと分かっているのだが、ひとつだけ表書きの無いものを今日押入れの奥に発見した。揺すると中でガラガラ音がする。まったく記憶が無いし、よく見るとアリさんマークの箱でもない。
数年しか経っていないが、これはもう立派なタイムカプセルである。ワクワクしながら開けてみた。
レンズ研磨セット、素性不明のジャンクスコープ３本、吹き口付き(素人用)簡易フルート、ポケットクラリネットの作りかけ、バンブーサックスの作りかけ、ヤスキ銀紙鋼材(自作ナイフ用の素材)2本、真空管アンプの失敗残骸、超安物天体望遠鏡、ウクレレ製作キット、エレキギターの残骸などなど、笑ってしまうようなガラクタがギッシリ詰まっている。よく分からないがアチャパー！ である。捨てるつもりで置いてあったのを、間違って運んでしまったものと判明した。
妻には怒られるだろうが、これはもう一種の縁である。もう一度捨てなさい、とは絶対言わせない。懐かしくかつ愛おしくなってひとつひとつを撫で回してしまった。
ただなあ……最近わたしの部屋は“ゴミ屋敷”化しつつあるのだ。娘はわたしの部屋を“リサイクルショップ”と呼んでいる。DNAが源であるようだ。母の部屋も、姉の部屋もこうだった。
２０年は経っているとおぼしきMDウォークマン(録再機)も出てきた。充電池が完全に逝っちゃっていて、リチウムって当時はかなり高ったから、ならばもう捨てようと思ったのだっただろうか。試しにACアダプターを繋ぐと普通に動きだした。５Vなのでスマホ用の予備バッテリーに繋げばなんとか持ち歩けそうだ。昔はそんな大容量バッテリーは無かったからなあ、今だからできる便利技である。
頭の中に閃きがあった。部屋中をかき回して、ステレオワンポイントマイクとガンマイクを探す。ガンマイクというのは超指向性のマイクのこと。
アハハ、何を考えているのかって？ 生録ですよ、生録。生録音ですよ。
土気では今、うるさいぐらいに不如帰（ホトトギス）が鳴いているのである。その鳴き声を録ってみたいのだ。どうせ４時半ぐらいには起きているんだし、家族に迷惑にならないようにいつもじっと息を殺して時間をつぶしているのだ。とっとと外に出て生録に出掛けよう。
今考えると「生録」というネーミングが良かったのだろうという気がする。３５年ぐらい前に結構流行ったのだ。生音の録音だから“生録”なのだろうが、生音ってのもよくよく考えると変だ。いずれ「生(なま)」っていう言葉については深く考察したいとおもっている(？)が、煮た音、焼いた音ってのもないし、反対語もなさそうだから「生の」というのは「自然の」という意味だったのだろう……ということにしておこう。
FMステレオ放送で、雑踏の音や海辺の波音、渓流の音、鳥や動物の鳴き声、その他さまざまな生録音源が流れていたものだった。
レーシングカーが右から左へ疾走するのに合わせて、皆で首を動かしてみたりしたものだ。ワイキキの波音のレコードが発売されていて「溺れる溺れる〜」などと言いながらヘッドホンを付けたまま寝たものであった。
“カセットデンスケ”なんて機材もあったあった。覚えておられる方も多いのじゃないだろうか。これもネーミングの妙だと膝を叩いたものだが、なんでデンスケ君だったのだろう？
わたしも使っていたが、電池を入れるとズッシリ重くてマニアック気分になれたものだ。主に渓流の水音を録ったりしていたが、カセットの時代というのはとことんヒスノイズ(テープ自体のノイズ)との戦いで、結局いつも最後で空しい思いをしたものである。プロ用のドルビーAというのがあって１００万円ぐらいするのだが、買えなかったなあ。
MDウォークマンでの生録は、だから音質的にはきっとノイズの少ないハイファイが期待できるわけなのである。もっともこのハイファイって言葉自体が今やノスタルジックでアナクロである。
マイク類が見つからない。何処を探しても出てこない。ここ1年以内に見た記憶があるのだが出てこない。たしかオーレックス(東芝の昔のオーディオブランド名)製だったのだが、妻が捨ててしまったのだろうか。娘が捨ててしまったのだろうか。犬のキラが食ってしまっのだろうか。もしかして冷蔵庫の中？（※先日「無い無い」と大騒ぎして、眼鏡が冷蔵庫から出てきた。けっこうショック！）
振り向けば……部屋はほんもののリサイクルショップのようになってしまってた。いや、廃品回収業者の倉庫と言った方が近い。嗚呼！
鳥の声、録れたらアップしますぜ。
誠にだらしない話なのだが、新居に越してきて７年目だというのにまだ開けていない“アリさんマーク”の段ボール箱がいくつかそのままになっているのだ。それらのほとんどはアナログレコードだと分かっているのだが、ひとつだけ表書きの無いものを今日押入れの奥に発見した。揺すると中でガラガラ音がする。まったく記憶が無いし、よく見るとアリさんマークの箱でもない。
数年しか経っていないが、これはもう立派なタイムカプセルである。ワクワクしながら開けてみた。
レンズ研磨セット、素性不明のジャンクスコープ３本、吹き口付き(素人用)簡易フルート、ポケットクラリネットの作りかけ、バンブーサックスの作りかけ、ヤスキ銀紙鋼材(自作ナイフ用の素材)2本、真空管アンプの失敗残骸、超安物天体望遠鏡、ウクレレ製作キット、エレキギターの残骸などなど、笑ってしまうようなガラクタがギッシリ詰まっている。よく分からないがアチャパー！ である。捨てるつもりで置いてあったのを、間違って運んでしまったものと判明した。
妻には怒られるだろうが、これはもう一種の縁である。もう一度捨てなさい、とは絶対言わせない。懐かしくかつ愛おしくなってひとつひとつを撫で回してしまった。
ただなあ……最近わたしの部屋は“ゴミ屋敷”化しつつあるのだ。娘はわたしの部屋を“リサイクルショップ”と呼んでいる。DNAが源であるようだ。母の部屋も、姉の部屋もこうだった。
２０年は経っているとおぼしきMDウォークマン(録再機)も出てきた。充電池が完全に逝っちゃっていて、リチウムって当時はかなり高ったから、ならばもう捨てようと思ったのだっただろうか。試しにACアダプターを繋ぐと普通に動きだした。５Vなのでスマホ用の予備バッテリーに繋げばなんとか持ち歩けそうだ。昔はそんな大容量バッテリーは無かったからなあ、今だからできる便利技である。
頭の中に閃きがあった。部屋中をかき回して、ステレオワンポイントマイクとガンマイクを探す。ガンマイクというのは超指向性のマイクのこと。
アハハ、何を考えているのかって？ 生録ですよ、生録。生録音ですよ。
土気では今、うるさいぐらいに不如帰（ホトトギス）が鳴いているのである。その鳴き声を録ってみたいのだ。どうせ４時半ぐらいには起きているんだし、家族に迷惑にならないようにいつもじっと息を殺して時間をつぶしているのだ。とっとと外に出て生録に出掛けよう。
今考えると「生録」というネーミングが良かったのだろうという気がする。３５年ぐらい前に結構流行ったのだ。生音の録音だから“生録”なのだろうが、生音ってのもよくよく考えると変だ。いずれ「生(なま)」っていう言葉については深く考察したいとおもっている(？)が、煮た音、焼いた音ってのもないし、反対語もなさそうだから「生の」というのは「自然の」という意味だったのだろう……ということにしておこう。
FMステレオ放送で、雑踏の音や海辺の波音、渓流の音、鳥や動物の鳴き声、その他さまざまな生録音源が流れていたものだった。
レーシングカーが右から左へ疾走するのに合わせて、皆で首を動かしてみたりしたものだ。ワイキキの波音のレコードが発売されていて「溺れる溺れる〜」などと言いながらヘッドホンを付けたまま寝たものであった。
“カセットデンスケ”なんて機材もあったあった。覚えておられる方も多いのじゃないだろうか。これもネーミングの妙だと膝を叩いたものだが、なんでデンスケ君だったのだろう？
わたしも使っていたが、電池を入れるとズッシリ重くてマニアック気分になれたものだ。主に渓流の水音を録ったりしていたが、カセットの時代というのはとことんヒスノイズ(テープ自体のノイズ)との戦いで、結局いつも最後で空しい思いをしたものである。プロ用のドルビーAというのがあって１００万円ぐらいするのだが、買えなかったなあ。
MDウォークマンでの生録は、だから音質的にはきっとノイズの少ないハイファイが期待できるわけなのである。もっともこのハイファイって言葉自体が今やノスタルジックでアナクロである。
マイク類が見つからない。何処を探しても出てこない。ここ1年以内に見た記憶があるのだが出てこない。たしかオーレックス(東芝の昔のオーディオブランド名)製だったのだが、妻が捨ててしまったのだろうか。娘が捨ててしまったのだろうか。犬のキラが食ってしまっのだろうか。もしかして冷蔵庫の中？（※先日「無い無い」と大騒ぎして、眼鏡が冷蔵庫から出てきた。けっこうショック！）
振り向けば……部屋はほんもののリサイクルショップのようになってしまってた。いや、廃品回収業者の倉庫と言った方が近い。嗚呼！
鳥の声、録れたらアップしますぜ。
ｍｋ
