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かなりの工作能力を自負します

1974年製なのだよ

ここに2cmの穴があった

もうロゴが金色じゃないのだ

犬にギターだな

このケースをみんな欲しがる
2015年12月05日(土)「 マーチンD-28の復活 」

 過去ログの「ギター遍歴」に書いた通り、わたしのマーチンD-28は見るも無惨な姿になって手元に戻ってきた。もう20年ぐらい前の話だが、今でも思い出すたびに「♪ローラ♪〜(傷だらけのローラ:西城秀樹)」とついつい歌ってしまうのだ。
 当時、すぐに御茶ノ水の「茶木楽器」に修理に出そうと思ったのだが、傷が余りにも酷いのと、修理をするともうマーチンではなくなるような妙な感覚とでとうとう出さずじまいで今日まで来てしまったのである。
 途中で一度だけマホガニー材の2mm板が手に入ったので、本格的にニカワを使い(日本画をやったことがある人はだいたいニカワ<膠>が使える)自力での復元に挑戦したことがあったのだが、気持ちのどこかで“割りきり”ができずにまたまた“いつでも業者修理に切り替えられる状態”で作業をやめてしまったという経緯があったりするのだ。

「取り敢えず音が出せるところまで自分で復活させてみるわ」と言うと、妻は怪訝そうな顔をした。
「業者さんにちゃんと修理してもらってから売っ飛ばしちゃえば一番安い車代ぐらいにはなるんじゃないの?」
 なんという魅力的な考え! わたしの心はぐらついた。シリアルナンバーから調べるとたしかに1974年製だから立派なオールドマーチンだ。ひょっとするとひょっとする。

 しかし、わたしはやっぱり自分の手で復活を目指すことにした。ちょっと不確かだが…さだまさしさんだったか?…アーティストが生活のために楽器を売ってしまったら終わり、みたいな事を語っていたのだ。別に生活のためではないのだけどね、ハハハ。
 わたしはアーティストとしては化石とかミイラとかゾンビみたいなランクだが、でもそういう楽器に対する気持ちは十分に理解できる。戦友とは最期まで付き合いたいのだ。ましてや傷だらけの戦友なのである。

 マホガニー材もまだ残してあったので活用した。強度の必要な箇所には現代のエポキシ接着剤も使った。音が出ればいいのだ、割り切らねばならない。もともと駒ピンの穴が弛かったのもついでに今回調整した。但し塗装は慎重にやらないといけないので今回は先送りに。オイルスティンのような染込ましてからパフで磨くタイプにしようかと思っている。木にとっても非常に健康的なのだ。
 修理後と修理前の変化を分かりやすく言えば、ボディの容積が割り箸5本分ぐらい少なくなったと言えば分ってもらえるだろうか。
「素人が手を入れた訳だからもうマーチンじゃねえなあ。マンチンD−28っていうのでどうだ?」と妻に言うと「腐ってもマーチン…とも言うわねえ」と返してきた。
 この人はあくまでも「売ってしまいなさい」と言っているのだろうか?

 男は思い出を引きずる生き物であり、女は思い出を削除できる生き物であるようだ。


※ちゃんと音が出たらお聞かせします。