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視聴率なんてどうでもいいよね!
 
2019年12月24日(火)「ラスト2分半の痛快」

 前回もちょっと触れたが「シャーロック 特別編」というのが昨夜放送になった。NHK大河ドラマの「総集編」のようなものだろうと予想していたが、ちょっと違っていた。
 ジャーナリストの門司かれん(木南晴夏)という女性が今回のみ登場してきて、獅子雄(ディーン・フジオカ)の功績を後世に残したいというのだ。で若宮チャン(岩田剛典)と協力しながら第1話から第11話までを追想、獅子雄に関わった人々を取材していくという構成。特別編用に新たに撮影した映像が要所要所に入るので全然退屈はしなかった。と言うよりこの特別編だけで1本の映画のような出来映えだったと思う。

 獅子雄と極悪人・守谷(大西信満)が海中に落ちて消えた岸壁に、若宮ちゃんが花束を持って立っている。
 そしてその花束を海に投げようとした時、背後からかれんの声がする。
「あきらめるんですか? 私はまだあきらめてないわよ。あなたがどうするかは自由だけど、私はこれからも彼のことを追い続けるわ」
「俺は、俺は前に進むためにここに来たんだ」
 そう言って若宮ちゃんは花束を海に投げ込む。
「さよなら」
「たっしゃでね」
 若宮ちゃんはバイクのエンジンに火を入れて走り去る。

 ここで主題歌「Shelly」が流れ始めてエンディングタイトルが始まり、出演者やスタッフの名前が流れ始めた。わたしは「ああ、こういう終り方なんだな……」と諦め(?)て役者名の順番などをぼんやりと観ていた。最初と最後の役者が、ギャラの1番と2番だと聞いたことがある。佐々木蔵之介さんが最後だった。好きな役者さんなので素直に嬉しかった。わたしは“終った感満杯”で溜め息をひとつつき、立ち上がろうとした。
 その時だ!

 場面がいきなりクリスマスイヴの電飾街頭映像になった。サイレンを鳴らしながら事件現場に向かうパトカーを鳥瞰で写し出す。道路に「3年後」と白文字で太々と書いてある。なかなかオシャレだ。
 そしてパトカーから江藤刑事(佐々木蔵之介)が降りてきてグレ刑事(山田真歩)と合流、殺人現場へ急ぎ足で向かう。
 そしてその先に居たのはなんと若宮ちゃん。3年経って立派(?)な白衣姿の探偵になっていた。もとは精神科医ですからネ。
「盛り上がってきたな」
 口調まで獅子雄に似てしまっている。
「それ、毎回いわなくていい」とグレ刑事突っ込む。
 3人で、通り一辺倒、表面的な推理をしていると、突然後方でしゃがんでいた警察の鑑識官がつぶやいた。
「そんなんじゃ盛り上がらないなあ」
 そして立ち上がり早口で喋りだしたのだ。
「もっと現場をよく見ろ! 入口の血痕は扉を出て右方向、一般車両の駐車場に向かっている。本来であれば洗濯屋の車は左方向、業者用の駐車場に停めてある筈だ。さらに刺された洗濯屋の腹部の傷と着ていた服に空いた穴の位置と大きさが微妙に異なる。つまり、刺された後に穴の空いた服を着せられたということだ」
「獅子雄……!!」

 放送後のツィッターがすごかった。みんな若宮チャンになって嬉し涙を流したようだ。
 1時間48分のこの「特別編」を、わたしはすでに4回観た。なのに、このラスト2分半になると毎回心が小躍りする。
 2020年5月にブルーレイボックスとDVDボックスが出るらしいが、特別編も含まれるのだろうか? 含まれるのだったら買うかも知れない。FODでも特別編だけがリストアップされないのもちと解せない。面白いのになあ。

 続編・シリーズ化 も期待できそうだ。