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来年の唐辛子の準備だ | |||
2015年11月03日(火)「 こそ泥 」 最近のわたしの楽しみは“こそ泥”である。特に文化の日などはほとんどの人々が展覧会や音楽会や句会や弁論大会に出掛けて家を留守にしているので、その隙を狙って庭から忍び込み……んな訳あるかい! めっきり寒くなった今日この頃、近所の畑の片隅には半枯れの作物の残骸が山積みされているのだ。そんな中に干からびた唐辛子の赤い実などをチラと見つけたりすると、わたしは気になって気になってモ〜その前を行ったり来たり、モーモーたまらなく牛になるのである。 しかしだ、いくら塀の無いオープンな田畑とは言っても他人の土地には違いない。燃やされて灰になる運命のゴミ同然の物とはいえ、入り込んでそれらを採集するのは悲しいかなやはり犯罪なのである。 正式には占有離脱物横領罪…というものだったような気がする。放置自転車に勝手に乗って帰るのは、これに当たる。 “こそ泥”を研究するために辞書を引いてみた。すると「別名…こそこそどろぼう」とあるではないか。 「ユルキャラかお前は!?」 わたしは少し笑い、同時に自分の中から罪悪感が抜けてゆくのを感じた。まったく身勝手な男なのである。 唐草模様の小さな手拭いで頬っ被りをし、口の回りを炭の粉で黒く塗った。“こそ泥”の実にスタンダードなコスプレである。捕まったとしても相手を笑わせて誤魔化す自信が湧いてくる。さあ、いざ出陣である。 犬の散歩時に、どこに何があるのかだいたいの目星はつけてある。“こそ泥”は下準備こそが命なのである。慎重にしてかつ大胆に、八方目と千の指。“こそ泥”の辞書に躊躇の文字は無い。 「バナナピーマン(甘い)」「伏見甘長唐辛子(甘い)」「万願寺唐辛子(甘い)」「鷹の爪(激辛)」の4種をゲットした。 来年の春、我が家の庭で再び命を紡ぐであろうカプサイシン共である。 こそ泥のくせに、なんとなく良いことをしたような気分になるのはどうしてなんだろう? |
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