「子連れ狼」の反対は「親連れ犬」

とにかくでかいのよ
 
2022年06月14日(火)「子連れ狼」

 6月8日に愛犬の”ソラ”がまたまた心臓発作を起こした。今回は軽く前兆があり、弱っているのが分かっていたので、ごくごく近くの公園まで散歩させたのだが、そこで倒れた。近くとはいっても体重が21Kgぐらいはあるので抱いて連れて帰るのに往生した。すぐに病院に運び診てもらう。状態はほぼ最初の発作時と同じ。心臓の外壁にできた腫瘍のための酸欠。今回も心臓の回りに血液が漏れ出して溜まっているのだと言う。根本的な治癒のための治療はなく、強心剤をのませたり点滴を打ったり、栄養を取らせたりといった対処治療だ。

「散歩に行けなくなったらかわいそうだね、オシッコ外でしか出来ない子だし」
「箱に車輪を取り付けて押して運んでやるよ。子連れ狼ってあったじゃない?」

 そんな会話をしていたので、わたしはどのぐらいの大きさの箱にしようか、車輪はやはり衝撃を吸収できるよう空気を入れるタイプの方がいいだろうなあ、箱の一面は外が見えるように金網にしようかなあ、いや冬寒いからアクリル板にしよう、などと色々考えていたのだ。今こそ武蔵野美術大学・木工実習満点の実力を見せてやる〜!と意気込んでいたのである。

 今日、明けで帰宅してみると玄関先にこれが有った。「高かったけど買っちゃったのよ〜!」と妻がはしゃいでいる。既に”ソラ”を乗せて「創造の杜」まで行ってみたという。ソラは喜んで自ら乗り込み、公園に着くと自ら降りてオシッコをし、ラクラクちんちんなどと言いながらまた乗り込んだらしい。
 わたしはとても寂しい。わたしの作る予定だった車は、底に穴が開いていて、オシッコもウンコもそこから出来て、雨の日には屋根がせり出し、右握り手にはイノシシ出没時用に刀が仕込んであったり、左握り手には槍…など考えてあったのだがもうそれもはかない幻に終わってしまった。…じゃないか、どうしてくれるんだ。残りの犬生を面白くしてやろうと思ったのに。

 小林 倫博