多忙とズボラがたたって、２０種はあった鉢植えのバラを半分ほど枯らしてしまった。回りに山が多く、ワイルドなのでコガネムシなどの甲虫が多いのだ。鉢の中にも卵を産んでしまうので、幼虫が根を食い荒らしたのである。
「俺はバラはほどほどにする。本当に好きなやつを地植えにする。病気と害虫に強いやつでないとここじゃ無理だ」
わたしがそう宣言すると、妻は少し悲しそうな顔をした。共通の趣味が無くなると思ったのかどうか……。
ブロックを積んで土を入れ、とりあえずチャチャッと花壇らしきものを制作。鉢の底から根が地面に伸びてしまったもの（繁殖力旺盛な種類）を、鉢の底を切り取って植えつけた。ナニワノイバラとハマナスの赤と白など。徐々に他のものも地植えにしていくつもりである。バラではないが、皇帝ダリアというのも植えてみたい。
「小林さん、種を蒔いたらいっぱい芽が出ちゃってねえ…」
隣家の奥さんがキヌサヤとミズナの苗をくれた。そういえば、朝から庭をいじっているのを何気なく見られているようではあったのだ。全面バラを植えるつもりだから要りません、とは言えないではないか。
キヌサヤとミズナには早くどんどん大きくなってもらって、早々に収穫して食べてしまおう。とりあえずバラはそれからだ。
