一日中、台風のような風が吹きカヌー行を諦める。気分は“突然遠足が中止になった小学生”だ。ビールを飲んで寝てしまいたいのを我慢して、夕方の犬の散歩に出る。
空を見上げるとチョウゲンボウ（小型の鷹）がツバメを追っていた。強風にあおられて翼のコントロールを失い、仕方無さそうに山の方へ去って行った。世の中はままならぬ事の方が多いのだ。
前方にウグイスの鳴き声、左手の雑木林で今年初めてのヒグラシの声。季節を一瞬見失ってしまい浮遊する。
「何をやってるんだお前は」と真面目な方のわたしが問いかけてきたので「来るな」と言った。
とりたてて嬉しいことも無く、涙が出るほど悲しいこともなく、止みそうにない自己憐憫の風の中をトボトボ、トボトボと歩いた。
ｍｋ
