05年8月31日(水)「 太りゆく男 」
体重が69Kgになってしまった。
「俺は何にも食ってないんだけど、どうやら俺の中にもう1人の男がいて、こいつが深夜に飲み食いしているらしんだなあ」
妻は話もしたくない、といった様子でどこかへ行ってしまった。SFギャグのわからん女だ、まったく。
そんなことはさておき、やっぱり太りゆくのはまずい。アウトドアでも以前のようにフライロッド片手に1日中歩きまわるなんてことが無くなって、最近は茶を立てたりして楽なことばかりしているからこんなことになるのだ。そうだ歩かねばならない。
県立安行武南自然公園の一部分を写真を撮りながら歩きまわる。初秋なのだろうがまだ暑い。短パンで来たのを後悔する。スズメ蜂が多いのだ。越冬のための蜜集めに忙しいのだろうが、せわしなく飛びまわるスズメ蜂が顔のすぐ横をブ〜ンと飛ぶとけっこうな風圧が感じられて恐い。
蜂は本能的に黒いものに反応する。熊を意識しているらしいが、わたしが熊ではなく、黒いのは髪であることがわかると去って行った。白髪や金髪の人は大丈夫かも知れない。
一面に葛が群生している。その中に生息している虫の数を思うと気がとおくなった。世界は最終的に昆虫に乗っとられるのかも知れない。またSFだ。
墓地のすぐ横に竹林があり、ちょうどいいベンチがあったので野点をする。今日は「墓場でチャチャチャ」である。甘い菓子を持ってくるのをわすれたので、墓に何か供え物はないかと探したが無かった。墓場でチェッチェッチェッである。(前回と同じオチになりましたがな)
「今日はけっこう歩いたよ。バイクが置いてあるところまでまた戻るのがしんどかったなあ、少し痩せたかも知れん。」
わたしは夜になってから妻に話したが、ほとんど興味なさそうだった。
「そうそう、また今日も野点をしたぞ、今度つきあえよ」
野点、と聞いて妻は反応した。
「饅頭とかヨウカンとかないの? 余ったやつ」
「あのねえ、そんなことしてると“太りゆく女”になっちゃうよ〜!」
妻はキッとわたしの方に向き直り言った。
「私のばぁあい(場合)は、私の中のもう一人の女が太っているだけで、その女を科学的な方法で溶かして排泄しちゃえば、私はすぐに元通りのスリムな体になるんですことよ、フンだ」
う〜む、SFとしてもそっちの方がおもしろそうではあるなあ、科学的仮想があるなあ、負けた気がするなあ、と納得するわたしもどうかしている秋の夜。
mk