植物にも魂があるのだ

竹トンボのように飛ぶ

子もみじ達

何処から見ても紅葉

お前!生きてるか

いらっしゃい!
 
2024年06月15日(日)「保護紅葉」

「お爺さん、お爺さん、私を助けて下さいな」
 どこかで聞いた声だなあ、と思って辺りを見回したところ、小芝風花ちゃんと同じ声をした小枝紅葉(こえだもみじ)ちゃんだった。可哀そうに、そんな所に閉じ込められて。

「閉じ込められたんじゃないのよお爺様、ここで生まれて育ってきたの」
「ナンタルチア、サンタルチア!」
「何言ってるチヤ、ヨンタルチヤ、まだ種だった頃、ここに流れ着いたのよ!」
「分かった、マンションでも何でも買ってやるぞ」
「違うちがう、愛人なんていやだよ」
「愛人じゃないさ妾だぜ」
「糞が! そうじゃなくって、ここから出してくれるだけでいいのよ〜!」

 という訳で、わたしはその紅葉ちゃんを家に連れ帰ることにした。保護犬ならぬ「保護紅葉」である。いずれは盆妻、もとい盆栽にしようという下心だ。
 今の時期、紅葉の木の下には発芽した幼苗が無数にあるが、そこから育てるには時間がかかりすぎる。ちゃんと根付くだろうか。犬じゃないから散歩は無理だろうなあ。
 小林 倫博