「 いい女になったヒンギス 」

 女子プロテニスのヒンギスが、実にいい顔になって戻ってきた。シャラポアだけが何かと騒がれている昨今だが、数年前のヒンギスはそりゃあもう大変な勢いだったのだ。いまさらここで説明するほどのことではない、か?
 確か14〜15歳ぐらいから天才と騒がれて、向かう所敵無しの状態だった。自信と誇りにあふれ、見るからに生意気で強気丸出しだった。もしも自分の娘だとしたら、どれだけ才能があろうが天才と騒がれようが張り倒してしまうかも知れんなあ、“いただけねえ奴”だなあ、などと思ったものである。当時身近に顔も態度もヒンギスばりの作詞をする女性がいて、わたしは手を焼いていたのだ。
 しかしそんなヒンギスも怪我には勝てなかった。骨折だったろうか、足を痛め若干22歳でプロテニスプレーヤーを引退したのだった。劇的な引退だったのだ。

 記念すべきカムバック第1戦、若さとパワーに勝る相手をヒンギスはテクニックと冷静な判断力で下した。本人曰く「以前より勝ちたいという気持ちが増した」とのことだ。わたしはニュースのインタビューでヒンギスの顔に釘付けになった。一回りも二回りも大人になったヒンギスがいた。とはいってもまだ25〜26歳のはずだが明らかに顔が変わっている。それは単に年齢が増した、ということではないような気がした。いい顔になったのだ。
 おこがましいのを承知で言うが、きっと大きな挫折を乗り超え、人間的に大きくなったのだろう。険が取れて温和になり、懐が深くなった。笑顔の奥行きが数年前とはまるで違うような気がしたのだ。そういえば大人は大きな人とも読める、歳をとるという意味だけでもなさそうだ。
 さらにおこがましいのは承知だが、ついでに言う。ヒンギスはこれから先さらに長きに渡って活躍するだろうと思うのだ。彗星は消えず、巨星になるのだ。ナブラチロアがまだ第一線でやっているが、きっとヒンギスもそうなるような気がする。強さは体力と技術だけでは成し得ない。大人になること、こなれることはいいことなんだなあ、と久し振りに思った。
 それと……、下衆な意見ではありましょうが、まあそれが一番言いたかったのだが、男の目から見て「いい女になったなあ」と思ったもんね、好きになったもんね、クックックッ。
 わたしは背の高い女に弱い。
 
 


            





yahoo! jpan   geocities top   ヘルプミー
  今を枕に考えた
いい女になったヒンギス