経営状態不明の牧場です

散っとるやんけ!

サクラ餅やんけ!

カナブンやんけ!

ジイサマやんけ!

これ見に来たやんけ!

5月みたいやんけ!
 
2024年04月23日(火)「午前は花見」

 コロナ禍以来だから4年ぶりぐらいの秋元牧場。八重桜の隠れた名所である。我が家のすぐ近くの公園の八重桜が満開になったので、高所の牧場はおそらくこれからだろうと思ったのだが、すっかり当てが外れた。陽当たりがいいのか牧場の桜の方がすでに満開を終えて大分散ってしまっていた。おまけに入口付近のバーベキュー屋さんの前の棚ではすでに藤の花が咲き誇っている。

 おまけにあいにくの曇り空で、写真に収めてもキラキラとした光のほとばしりも見られない。これだけはテクニックでもAI処理でも無理だ。わたしに残された唯一楽しみは白の八重桜で目の保養をすることだ。珍しいものなのかどうかは知らないが、やや派手目のピンクの花よりこのほぼ白に近い八重桜には心が癒される。これだけを見るために以前は毎年ここを訪れていた。4〜5年前は3〜4本有った記憶だが、枯れてしまったのか今はこの木1本になってしまっていた。
 ボタン雪のように白い花びらが散る様は、遠い記憶を思い起こさせる。

 別れを決めたわたしたちはカフェを出て、逆方向に歩き始めるのではなく、同じ方向に向かって歩いていた。
「送ってくれるの?」と彼女は言った。
「ああ」とわたしは言った。交わした言葉はそれだけだった。何年かに1度しか雪の降らない南国に、大粒のボタン雪が降り始めた。わたしはそのままその足で「特急・はやぶさ」に乗り再度上京した。21歳の冬だった。

 1年後「もうすぐ母になります」とハガキがきた。1年の間に新しい出会いを経験し、結婚をして子を宿り、母になるのだという強い意志を持って生きている。女の人は本当に強い。ちょっと「盛り」ましたけど(笑)。









 小林 倫博