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最期の力の源は何だったのですか? | |||
2017年06月23日(金)「がんばりました」 2017年06月19日 23時54分(実際は23時25分頃、医者の確認が54分)、オフクロ様が逝った。享年92歳。死亡届上は「誤嚥による肺炎」となっているが、まあ老衰だ。大往生だと思う。 何回か危篤召集があったせいで、つい油断したため、結局「死に目」には会えなかった。5分遅れだった。 病室に着くと、姉と若い看護師さんがオフクロに入れ歯を装着している最中だった。歯茎まで痩せてしまっているのでなかなかはまらず、結局わたしが強引に口を開けさせて装着した。装着したというより、ただ入れ込んだ感じだ。手先が器用なことに改めて感謝する。しかししばらくするとまた歯が飛び出してきて出っ歯になった。上下の唇を引っ張って閉じさせる。また出っ歯になる。閉じさせる。それの繰り返し。こんな時に何をやってるのだろう俺は、と悲しくなった。 「違う人の入れ歯なんじゃないかしら? ミスで他の人のと入れ替わってしまったとか?」 実に姉貴らしい見解だが、そんな筈はないだろう。 軟質ゴムのように柔らかい唇。思えば、わたしは初めてオフクロの唇に触った気がした。 点滴だけで111日間生きた、のらしい。死亡届にもそう書いてあった。それを聞いた時、わたしはオフクロを誇らしく思った。若くて綺麗な(綺麗なは余計?)看護師さんが「こんなオバアチャンは初めてです。すごいです。院内でもみんな『スゴイ生命力、スゴイ!』って言ってるんです!」と涙を見せた。 わたしは「最後の最後にすごい仕事をしましたね」とオフクロに言った。オフクロは笑いながら「人間でいたかっただけだよ」と照れていた。以前「来世でまた人間になれるっていう確率はほぼゼロなんだぜ」とわたしが脅したからだろうか。 本日、葬式終了。「家族葬」っていいですよ。お勧めする。……勧めてどうする! |
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