2022年11月09日(水)「カミングアウト鍋」
昨夜だったら皆既月食を観ながらのオツな酒宴となったのだろうが、1日違うだけでいつも通りのただの「渡り鳥の飲み会」である。もとい「渡り鳥の会」である。バジル味の蒸し鳥、味付きサイコロステーキW焼くだけ”、棒餃子、鳥もも肉の塩ダレ漬けW焼くだけ”…もうルーティン化している。ちなみにW焼くだけ”というのは業務スーパーで売っている商品名である。
で今日のメイン料理は、というと「鍋」である。今年初の鍋だ。とは言ってもそこに行くまでに相当食ってしまっているので、腹は満腹。ただ時間をかけてゆっくりと飲むのに鍋はいい。で、鳥の白湯スープに適当な野菜類とキノコ類をぶち込んで、さっぱりとした感じの軽い味付けにした。
箸休めは「焚火」である。
突然、ネモッちゃんの携帯が鳴った。そしてどうしたことか携帯を持ったまま50mほど離れた場所へ彼は移動してしまった。しかしごくごく静かな川辺である。言葉は聞き取れないが口調は伝わってきた。時々語気を荒げる母音が聞こえる。確実に誰かと言い争っている雰囲気だった。かれこれ30分はその状態が続いた。そして通話が終わった後も、しばらく彼は戻って来なかった。
わたしが何も聞かないのが逆に気になったのか、彼は電話の中身、相手、当面の問題などを話し始めた。しばらく戻って来なかったので、わたしはてっきりWうんこ”でもしていたんだろうと思っていたので少しびっくりした。冗談、冗談、茶化してはいけない。人生は深いのだ。切なさに満ちている。
人の秘密話を聞いてしまったせいか、わたしも酔いに任せて激辛の重い話をしたくなった。誰にも言っていない吐き捨ててしまいたい過去が有る。わたしが歌手を辞めた本当の理由だ。
売れてはいなかったが周りのスタッフがわたしを支えてくれていた。作品の価値も、まあ人柄も認めてくれていたんだと思う。あと少し我慢して続ければきっと売れる日が来るよ、と励ましてくれてもいたのだ。ありがたいといつも感じていたが、腹立たしい条件・状況も無くはなかった。
40年近い昔の話だが今でも胸が痛む。ある一つの事件が有って、わたしはスタッフからの信頼を一夜にして全て失った。次の日からわたしの全人格が否定された。自業自得である。しばらく針のむしろの様な日々が続き、ついに絶食自殺者が出たことが決定的となり、わたしはその場にいられなくなった。
人生は地雷原である。絶対に適当に歩いてはいけない。
ということで、今日のメイン料理はWカミングアウト鍋”になってしまったよ。
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