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文学とは、他人も自分もボロボロになること

2016年10月24日(月)「文学と作文」

 女に振られた男がいたとしよう。

「何時だ? 5時か。そろそろ夜が明けるのか〜? いや明けるのはここんとこ6時過ぎてからだったか? もう起きようかな、ウジウジ考えても仕方ねえや。寒(さみ)いな。靴下、靴下。あ〜っ!5本指靴下だった、面倒くせえなあ。まいいか、左、左っと。暗れえなあ、右、右っと。あれ? こっちも左だな。あれ? 裏返ってんのか? あれ? もしかしてこれ、一昨日履いてたやつか? 他には? 無え、暗えな。無いな、無い無い。チクショウ。そうだ、とりあえず裏返せばいいんだワ。俺って天才じゃん! どれどれ、ああ、やっぱりパイル地がこっちだから裏返ってたわ。5本指ってのは指先を裏返すのが面倒くせえなあ。あ、あれれ? これは……要するに……裏返してんじゃなくて表返している訳だよな。しょうがねえなあまったく……何なんだよ俺は!」

 上の男が25歳なら文学、上の男が62歳ならただの作文である。真実は意外な所にあるのだ。修行が足りない。