「 曙 」
「お前はスモウのチャンピオンだったけどほんとは誰よりも弱い!」
「お前はリングの上にカエルのように這いつくばるだろう、おそらく世界中のどの種類のカエルより弱いはずだ!」
「スモウの硬いフンドシを鎧のように体中に巻いて“フンドシマン”の名で再デビューしてみるか? それでも倒されるんだろうなあ」
「お前は足も弱いが心はもっと弱いな。殴られて泣く格闘家を初めて見たぞ。泣くな馬鹿!」
「お前にはなあ、任天堂のゲーム“ストリートファイター”に出てくるスモウファイター“ホンダ”のようになって欲しかったんだ。ホンダはツッパリだけで結構強かったぞ。お前、ツッパリって知ってるか?」
「上半身が少し絞れて腹が引っ込み、華麗なボクシングステップを踏むお前の夢を昨夜見たけどなあ、ジャンプして着地して骨折ってたわ。馬だったら安楽死だ」
「貯えはもう無いのか? 働かなきゃ食っていけんのか? カミさんに強請されてんのか? カミさんの方に試合にでてもらうか? そうするか?」
……曙は弱い弱いと人に言われて、それで自分がどのぐらい弱いのか試すためのK-1に参加しているのだな、うん! そうか、そうに違いないな。勝っちゃいけないんだ!
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