2021年08月20日(金)「3年ぶりのワイナリー」
庭のマスカットが大豊作である。お盆の頃、2〜3個つまみ食いしてみたが、もうすっかり熟していてさわやかな甘味に初秋を感じた。と、ちょっと気取ってみた。
がだ! 今日現在、熟しすぎた実が落ち溜り、庭に果実特有の甘ったるい腐臭が漂っている。早く何とかしないと、またまた隣人・小宮(仮名)に「落人屋敷」とか言われそうだ。「猿酒屋敷」に呼び名が変るかも知れない。猿酒と言うのは、猿が木の洞(うろ)などに果物を隠し、それが自然発酵して酒になったもののことだ。そうなると……わたしも妻も「猿」ということになるじゃないか。面白いこと言ってくれるじゃない!
午前8時、収穫開始。熟しているのでボタボタと大量の粒が落ちるが、そんなのを気にしていたら作業がはかどらない。誰も手伝ってはくれないのだ。面倒になって梯子の上から地上の漬物樽めがけて投げ入れるが、時々外れて房ごと地面にグチャと落ちる。が、惜しんでる余裕など無いのだ。時間と蟻と蜂とコガネムシとの戦いなのである。蚊もいるぜ。ちょっと嬉しかったのは地上3mの房にダンゴムシが取りついて居たことだ。「頑張ったねえ」と思わず言ってしまった……じゃないか! オリパラのせいだ(笑)。
キャンプ用のテーブルを日陰に出し、魔法瓶(古いね!)の氷水をがぶ飲みしながらなんとか午前中に収穫終了。と言ってもかなり乱暴で手抜きな作業だった。だいぶ無駄を出したが、それでも裕に60Kgはありそうで今更ながらびっくりした。40Lの漬物樽の方は結構な重量、気を付けないと腰にくる。わたしは腰がアキレス腱だからなあ。
娘が出かけるというので1階に降りてきて、チラと収穫されたブドウを見た。が「あら、すごいね」の一言であった。出かけるのだから手伝いは無理だろうが「熱中症に気をつけて」ぐらい言ってくれても良さそうなものだ。少し腹立たしかったので午後からの「潰し作業」はワインを飲みながらやる事にした。ワインを飲みながらワインを仕込む、これが今日の味噌な訳ですな。
13時から再開。小林ワイナリーでは実を握力で潰します(笑)。古来の手法としては処女の柔らかい足で踏んで潰したらしいですが、そんなものは身近にはおりません。種を潰さないという目的のみなら、わたしの足でも犬でもいいのでしょうが、雑菌だらけで即中毒という事になりかねない(笑)。
基本、絞った葡萄ジュースに砂糖を加えれば、皮に元々付着している酵母菌で自然発酵する訳ですが、何回かの経験上、小林ワイナリーでは潰したままの「汁と実と皮の混合物」に砂糖を加えて1週間程発酵させることにしている。菌の力(量)が足りないといった経験を何度もしたので、菌をなるべく多く得る為の作戦である訳。メーカー製ワインは優秀な酵母菌を別途購入して利用している筈です。つまり、裏を返せば小林ワイナリーは100%無添加ワインな訳ですね。つまりは猿酒と同じ……ん? 猿酒屋敷じゃん!
発酵から熟成準備までは次回で。
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