ついてねえなあ

まさか日本まで…

逸れたけどね
 
2023年06月02日(金)「台風2号で早とちり」

 先月、台風2号がグアムに甚大な被害を与えたというニュースを、わたしはノホホンと見ていた。瞬間最大風速が85m/Sだと聞いて「オー! 時速にすれば306Kmだ、新幹線の“はやぶさ”並みじゃないか、スゲエなあ」などど不謹慎だが対岸の火事的に感動したりしていたのだ。

 こんな早い時期に台風が発生するのも珍しいが(史上3番目?)消滅するどころか北上してきてついには日本に接近してきたのが先月末。わたしは“嫌〜な予感”がした。おそらく来るな…ついてないもんな俺、と思った。
 明日、6月3日(土)に去年と同じ「お百姓市場」での枇杷狩りを予約しているのである。

 台風の勢力は幾分弱まってはいたが、それに誘発された大規模な線状降水帶が発生していた。太平洋側の各地で洪水や崖崩れが起き始めていて、気象予報では「命を守る行動を」と盛んに繰り返していた。しかしわたしは「ゆっくりと安全を確かめながら行けば大丈夫だろう」と半ば高を括っていたのだった。ま、豚味噌の会の玲奈ちゃんと1年に1回のおデートということもあって、多少無理しても逢っておきたい(?)と思っていたわけである。年寄りなんていつ逝っちゃうか分からないからね。

 16時頃、物凄い雨音で目が覚めた。当務明けで昼飯にビールを飲んだのがいけなかった。69歳まで生きてきて初めて聞くような雨音だった。1時間に100mmぐらいの雨だったのではないだろうか(大げさ?)。わたしは正直びびった。線状降水帯というのはこれか、とびびった。
 わたしは「お百姓市場」に電話を入れて状況を確認した。案の定「台風…来そうですねえ、雨がひどい場合は屋根のある場所での“籠盛り”ですかねえ」とのことだった。まあそれはいいとして、行くまでの高速道路での突風が怖い。途中封鎖もありうる。かといって下道を走って事故にでも遭遇したら大変なことになる。下道は崖崩れの多い道なのである。大事なお嬢さんに何かあったらなんとお詫びしていいか。わたしの脳裏にはテレビニュースで見たグアムの惨状が広がっていた。
 
 少し寝ぼけていたかも知れない。ぼんやりとした頭で決めたのだ。キャンセルは面倒な手続きも無く、口頭だけであっさり済んでしまった。「お百姓市場」の方は「来年また来てくださいね」と笑って対応してくれた。わたしは「来年かならず行きます」と明るくお愛想を言ったが、遠足が中止になった小学生の様な顔をしていたと思う。

 ※追記
 6月3日は嘘のように天気が回復し、午後からは晴れ間も出て風もおさまり、絶好の「枇杷狩り日和」となった。早とちりだったかも知れないなあ、とわたしは1日中考えていた。
 車の座席にかけたオニューの防水カバーを片付け、彼女用に準備したレインウエアと靴カバーとタオル類を片付けた。少し空しい気分が広がった。それを理由に、そしてまたビールを飲んだ。
 小林 倫博