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     お花をもらうなんて何十年振りだろう。

2015年03月27日(金)「 最後の日 」

 娘の運転する車の助手席に座っていた。iPodとカーステレオをつないで「いきものがかり」のベストが流れていた。娘のお気に入りなのだろう。わたしは「ああ、何年か前のオリンピックでよく流れていた歌だなあ」とか「2〜3年前のNHKの朝の連ドラじゃったろうかなあ」などと実にボンヤリと聴いていたのだ。アーチストには悪いけれど、いやいや100%歳のせいなのだが、愛やら恋やら夢やら希望やら卒業やら出発……といった歌詞は、61歳のわたしにはもうあまり響かない。

 14年間居たJ○B(旅行会社)の本社ビルから、突然異動することになった。もっとも、わたしは委託されてそこでセキュリティ関係の仕事をしていただけなのだが、さすがに14年は長い。一介の出向者なのに、J○Bのさまざまな部署から“ごくろうさま&ありがとう”のお言葉をたくさん頂いたのだ。実にこそばゆい。
 それが昨日のこと、わたしのJ○Bでの勤務は終了した。
 次の職場は既に決まっていて、千葉県内の病院である。早々に気持ちを切り替えねばならない。

 運転する娘に感づかれないようにして(?)、わたしは一人の24歳の女性のことを考えていた。
 ほとんど昨日初めて話した…というぐらいの間柄なのだったが、わたしがいる詰所にやってきて「別れが辛い」と言い、最後には涙を流して泣いてくれたのである。わたしは照れ隠しに“AUのCM”の真似をして「泣くほど?」とか言ってみたりしたが、笑ってはもらえず、とめどなく(?)流れる涙にかえってこっちがググッときちゃったりしたもんね〜。
 男は、特にジジイはほんとダメだ。そういうことから疎くなってるからか、免疫力や抵抗力がほんとうに低下しているからか、20秒で惚れちまった。相手がウィルスだったら即死だ。いやいやウィルスじゃないのだ、可愛い、かわいいお嬢さんよ!
 わたしは先天性妄想癖と後天性能天気を足して2で割った感じになってしまった。結構「寅さん」に似ているのだ。
 
 なんとも思わなかった「いきものがかり」の歌が、3曲目あたりでガーンときた。目頭ヤバイ。
 そしてわたしは気づいた。
『こころに熱があって初めて、歌は聞こえてくるのだ』ということを。ウ〜ッ、かっこいいなあ!


「むかしプロやってた人が今さらそんな初歩的なことを!」と娘が言った。
 うん? なんでバレたんだ!