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ドンファンは殺された
 

16:20は焚火の火も出来上がっている

黒い大きなテーブルを新調したので便利

通りすがりの男はいい車に乗っていた
2021年04月22日(木)「折れない竿と折れ易い男心」

 イシモチのシーズン到来ということで、昼過ぎにネモッちゃんと横芝駅で待ち合わせて、いざ栗山川へ。コロナ禍の中ですからね、派手さは厳禁、静かにしずかに楽しむべし。
小潮で干潮で風が強くて生命の息吹全く無し。最悪のコンディション。先日完成したばかりの“折れない竿”を初めて使ったのだが、見事にやはり折れなかった。魚が掛からなかったからだ。ゴミも掛からなかった。根掛かりもしなかった。
馬鹿馬鹿しい冗談を言ってしまいました!

 午後4時には準備万端、酒池肉林の「渡り鳥の会」。もともと釣りの会ではないので、釣果はどうでもいいし粘る気持ちも毛頭無いのだが、ボウズはやはり心が折れる。1匹が大事なんだなあ釣りは。言い訳だが、だから「飲み」のペースがアップする(笑)。
 最近は血圧のため(?)にビアリー(アルコール度0.5%のビール、微アルから来ている名でしょうね。アサヒビール)ばっかり飲んでいたので、久しぶりに焼酎グイグイやっちまって1時間で出来上がってしまった。ネモッちゃんも半分逝っちゃっている。

 気が付くと、通りすがりの男がいつの間にか加わって飲んでいて、女についてなんだか愚痴のような、後悔のような、憤りのような何とも言えない話を延々と繰り返していた。
「ある日部屋に帰ってみるとですね、別れた女が部屋に忍び込んで暗闇の中で何やら携帯で撮してる訳ですよ。テンキーのナンバーを盗み見して覚えてたんでしょうねえ。恐怖ですよ、引きますよそりゃあ。警察に突き出しましたよそりゃあ。」
通りすがりの男の話はリアリティーにあふれていて面白かった。特に留守中に忍び込んだ元カノと言うのが恐怖で、目を閉じると光景が浮かび上がってくる。作り話ではそうはいかない。しかも警察に突き出されたとなると問題はこじれる。どっちかというと育ちが良くて教師の娘タイプだったとの事、コワイよコワイよ、女のプライド丸潰れじゃないですか!
「仕返しの為なら女は何でもしますよ。濡らした革紐を首に巻き付けて、乾くにつれてじわじわと締まっていくような計画的な恐ろしい責め方をするですよ。もう狂っているとしか思えない、病気ですよ、逃げられもしない、有ること無いことほじくられて上司にチクられて破滅ですよ、もう僕は破滅です」
 通りすがりとはいえわたしらは情が移ってしまい、男3人暗く“鯖味噌”をつつくのであった。
突然ではありますが……。
※鯖味噌……アルミホイールにオリーブ油を薄く引き、鯖の半身を乗せ、さらにそのうえに生姜と葱と出汁をたっぷり混ぜ込んだ味噌をドカーンと乗せて直火でじっくり焼くわけですよ。身も薬味も全部美味くてコストパフォーマンス満点パパ!

 ネモッちゃんもわたしも過去の自分の異性間事故のワンシーンを振り返り、通りすがりの男と静かに乾杯をした。男は心が弱い生き物なのだ。
 あんなに愛し合っていたのに、別れた後わたしのレコードの不買運動を起こしたらしい女性をふと思い出した。悲しい話だ(笑)。木綿のハンカチーフだ。

 通りすがりの男は最後に一言を残して去って行った。何だったんだろう。
「この世には、下には下のクソがいる」
 なるほど、けだし名言!
 小林 倫博