蝉って地中昆虫だと思う
 

4センチぐらい

擬態っぽい

目が合うと怖い

おそらくメスだ
2022年07月25日(月)「ニイニイ蝉」

 窓ガラスと網戸の間に蝉が入り込んでいた。すでに死んでいる。4Cmほどの小さな蝉だ。どうやってそんな所に入り込めたのか実に不思議だったが、興味はその蝉そのものの方に傾いて行った。あまり見たことのないやつだったからだ。
 クマ蝉、ミンミン蝉、アブラ蝉、ヒグラシ、春蝉……と思いつく蝉の名を画像検索した結果、こいつは「ニイニイ蝉」だと分かった。胸に共鳴板みたいなのが無いのでおそらくメスだろう。鳴いてくれれば気づいただろうし、逃がしてもやれただろうにと少し憐れになった。「雉も鳴かずば撃たれまい」の逆ですネ。「蝉も鳴ければ逃げれたものを」????

 ニイニイ蝉の鳴き声はどんなんやったかなあ? と思い、近くの「創造の杜」公園に行く。出来ればスマホで録音してみたい。確か抑揚の無いただの「ジーーーーー」という声だった筈だ。ツクツクホウシのようにはっきり聞き分けられるものではないし、さらに姿を見つけてもケツ振りをしないので鳴いているのかいないのかよくわからないヤツなのだ。地味そのものである。

 話しは変わるが「テレビの音がすごく大きいんですけど…」と最近妻によく怒られる。耳がどんどん悪くなっているのかも知れない。特に右耳が3000Hz以上の音に鈍感になっているようだ。若い頃からステージ上のモニタースピーカーは左寄りにしていたから自覚はあったのだが、加齢でますますひどくなってきた。いつかシンバルの音が木の板を叩いたような音に聞こえるのだろうか。悲しい話だなあ。そのうち自分の声も聞こえなくなるんだろうなあ。そうするともう何をしゃべっているのか分からなくなって、無口になって、語彙が減ってしまって、呆けて富士の樹海だ。
 
 ニイニイ蝉は公園のあちこちで鳴いていた。おそらくたくさん居るのだろう。ジーーーーの嵐である。ジジイもたくさん散歩していた。これもジジーーーの嵐である。夕方に近かったので蚊に何か所も刺された。どうやらモスキートトーンはもう聞こえないらしい。無防備なわたし、調子に乗る蚊柱。
 耳鼻科に行くことにする。鼓膜を洗ってもらえるらしい。それやるととてもよく聞こえるようになると聞いた。ただし聞こえないフリをする、という秘技(裏技?)が使えなくなるかもしれないなあ。ん? 聞こえてても聞こえないフリをしてればいいだけだじゃないか。何言ってんだ俺は!
 小林 倫博