わたし、狂い咲きしたらどうしましょう
 
2023年10月14日(土)「狂い咲き」

 先日「Caplio R6」という、最短撮影距離1Cmのデジカメを買った話をしたが、これがなかなかに面白くて近頃は常に持ち歩いている。寒くなったので昆虫類がすっかり減ってしまって残念だが、遭遇した場合は寒さで動きが鈍くなっていてかえって撮りやすかったりするので、人生まあ色々だ(笑)。昆虫のエグい顔をなるべく巨大に写して、それらを冬の間にじっと見つめて恐怖におののきたい。

 そういう訳でキョロキョロしながら歩いていると、今日なんと桜の花を見つけてしまった。いわゆる「狂い咲き」というやつだ。桜特有の「そこだけ華やいでいる」感があって、ぼんやり歩いていたのにピッと信号が来た。“こっちにおいで感”が確かにあった。
 風が吹いていたのでマクロ撮影は諦めて、普通(?)に撮った。

 桜の花芽は夏の間に出来るらしいのだが、すぐに咲いてしまわないように葉から休眠ホルモンというものが出ているらしいのだ。春になって一斉に咲くようにコントロールされている訳。ところが、アメリカシロヒトリ(蛾)の幼虫(毛虫)が葉を食い荒らした枝では、その休眠ホルモンとやらが花芽に届かず、ついつい小春日和の陽気に浮かれて開花してしまうらしい。まあおそらくその他の要因も多々あるのだろうが、なかなか説得力のある話だ。余談だが、秋に咲いてしまった枝には、春にはもう花が付かないそうである。当たり前と言えば当たり前だが、面白いなあ。

 誰も寄り付かないような場所なので、おそらくこの花たちに気付くのはわたしだけだろうなあと思った。すでにやや萎びた花弁もあるが、見てあげられて良かったなあと感じた。生きとし生けるもの、存在に気付いてもらえないというのは寂し過ぎる。
 
 ここ数日、恥ずかしいぐらい乙女チックになっているのは、8日に谷村新司さんが亡くなったせいだ。74歳で逝くのはちょっと切な過ぎる。5年後にわたしはまだ生きているだろうか。
 小林 倫博