2005年 3月16日(水)

 NHKのテレビ番組を観た。最近の文学界での若い小説家たちの活躍ぶりを特集したものだ。「新しい感性と言葉遣いが若い層に支持され、久しぶりに出版業界も活気づいている……」みたいな内容だ。
 もちろんわたしだって最近のブームをかなり意識しているし読んだりもしているが、どちらかというと“野ブタはプロデュースするより食べたい方だし、格闘技じゃ背中は蹴っちゃいけないしなあ”と思うぐらいの呑気さでひととおり目を通しただけだ。(うそうそ、ちゃんと読んでますがな)
 自分の書くものは51歳にしてすでに“エンディングノート”みたいなものになりつつあるので「まあ、背伸びしても結局できることしかできないしなあ……、自分の書きたい世界を書き続けていけばいいかなあ……」と、意識はしながらもそんなスタンスではいるわけなのだ。
 ところがである。番組の中で語る出版社の編集者たちにはちょっと腹が立った。ことごとく「もう若い人でなきゃダメ、文学賞なんか10代の若い人にあげることに最初っから決まってるもんね〜、その方が話題性が出るし〜、売上につながるしね〜」みたいなこと言うもんだから、わたしはすねてしまった。
 もう10日ぐらい経つが今でも結構落ち込んでいるのである。やっぱり野ブタは食べちゃいけないんだ……、蹴りたい時は正々堂々と背中を蹴ってもいいんだ……と落ち込んでいるのだ。情けないオヤジである。
 
 で、気晴らしに「一番咲きの桜」を探しに旅(?)に出た。午後から4時間走り回って、たった一ヶ所、ほころんだばかりの桜を見つけた。桜並木の中の一番端の一本の、さらにまた一枝だけだ。
 当然だろうけど、植物にも個体の性格があるんだなあ、と思う。木同士で開花の一番乗りを競ったり、隣同士でお互いの花を誉めあったりすることがあるのだろうか。
「花見をする花」というタイトルが思い浮かんだ。……う〜む、やっぱり文学賞には縁がなさそうだ。




 





一番咲きの桜を求めて
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