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置かれた場所で歌いなさい

シリアルから1997製がわかる

短板は乾燥しすぎると割れる

2004年から眠ったまま?

シンプル

こちらはモーリス
2018年09月11日(火)「ヤマハ FG-413S」

 ヤマハのアコースティックギターを1本も持っていないのに気付き欲しくなった。病気だ。(あ!クラシックギターはヤマハだった)
 妻が渋い顔をするのは分かっているので「リペア及び調整後の転売目的」という名目だ。
 70年〜90年代辺りの日本製生ギターを対象にしたビンテージブームが起きてもうだいぶ経つが、今だにヤフーオークションなどでも糞みたいなギターにン万円といった値が付いて取引されている。いい加減早く冷めて欲しいものだが、言い変えればわたしと同じ病気の人が、この世にはたくさんいるという事らしい(笑)。
 データもWeb上に溢れていて、製作年、材質、定価などがメーカー毎に表になって載っているし、レビューブログもびっくりするほど充実している。個人で転売を生業にしている方も多いようだ。ブームというのはすごいパワーなんだなあ、と感心させられる。
 最近知ったのだが、わたしが所持している「スリーS TG-005」というギターなんか、35年前に妻にプレゼントしたものだが、今やオークションで23万円で出品されている。定価3.5万円だったのにだ。ブームというのはそれ自体がこれまた一種の病気でもある。

 話が逸れたが、ヤマハの「FG-413S」というギターをヤフオクで運よく2600円で落札した。あまり人気の無いギターらしいのは分かっていたが、それにしても信じられない値段だ。競ったのも1人だけ。平均的な落札価格は1万円強ぐらいらしいので、何かが作用して人目につきにくかったのだろう。
 調べたらヤマハ台湾工場(1997年閉鎖)製の可能性が高いし、装飾もまったく無い。高級感ゼロの質実剛健君なのだ。そういうところが収集マニアには見向きもされない要因なのだろうが、かえってそれはわたし的には好ましい事だ。
 トップは単板だし(わたしにとっては必須条件・定価3万円)20年は経っているのでおそらく乾いたいい音がしそうだ! と期待して到着を待った。

 で、届いた現物を今日見て再度狂喜乱舞した。ヘッドに少々ホコリがたまっていた(笑)が傷ひとつ無い。ほぼ新品に近い状態だ。フレットの減りゼロ、指板の削れもゼロ、小傷・打痕無し、ピックガードに至っては新品時のビニールが貼られたままだった。デッドストック品かと思ったが、トラスロッド(ネックの反りを修正するメカニズム)を回した形跡を発見した。
 パーツを全て外して、グルグルと回転させながら観察しているとサウンドホールからポロッと木片が落ちてきた。
「ゲッ! 天国から地獄へ落ちた気分というのは、こういうことか」と正直思った。なんとその木片には何やら番号が刻印されていて……。
 ここからは想像だが、思うに前持主が無知をいいことに買ってすぐにトラスロッドを強引に回してしまい、その際に勢い余ってシリアルナンバーの打ってあるブレース(力木)の先端部を欠いてしまったのではないだろうか? で、余りのショックで寝込んでしまい、そのままケースに仕舞って文字通りお蔵入り。御本人はお亡くなりになったかもしれない。それで使用痕跡が皆無の中古品……てな事なのではないかと妄想する(笑)。
 幸い強度にも響きにもほとんど影響の無い場所なのでニカワを使わなくても、エポキシでチャチャッと接着すればOKだろう。

 3時間ほどかけてブレースの接着と全体の磨き上げと弦高調整をしてやっと音出し。容積の違いからかマーチンのDシリーズよりは低音の響きが少ないが、俗に言う“ヤマハの鈴鳴り感”は実にさわやかだ。立派な個性である。好きな音である。録音に向いている。
 ソフトケースから保証書が出てきた。一緒に入っていた靴紐は永遠の謎だ。
「2004年の冬に置屋さんから身受けされたんだねえ。だけどその後は全然さわってももらえなかったんだねえ。辛かったねえ。どうした縁でわたしにまでたどり着いたんだろう、不思議だねえ」
 そんな事を考えたら、もう転売なんて出来ましぇん。

(ハナタカオマケ)
 5枚目の写真のギターはモーリスのW-30というもの。妻の弟さんが(双子ちゃんなのだ)高校生のころ買ったヤツらしい。43年は経っている。最近我が家の押入れから発見、救出された。こちらも定価3万円だが装飾に金がかかったのだろうか材質的にはオール合板。が、これも見事に無傷。弟さんがギターを諦めたお陰である。
 音は可もなく不可もなく普通だが、とても弾きやすい。モーリスは割と細かいところまで手をかけて仕上げてある印象である。こいつを売るかな?