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Fieldnote 2017 「文宝洞」は間違った名称だかんな

行きたい行きたい

看板があるらしい

干上がっていた

どろだらけになる

出発(インターバル撮影)

水位マイナス1m

鏡のような水面

黄緑と紫の関係

水面が無くなった

爺さんは途方に暮れる
2017年05月12日(金)「伝宝洞はどこだ」

 蛇行する川を人工的にまっすぐにして、元々川だった場所を農耕地に変える工事のことを「川廻し」というらしい。江戸時代から千葉県では盛んに行われていたようで、房総に洞窟や切り通しが多いのはその辺りに理由があるらしいのだ。
 亀山湖にある有名な「伝宝洞」もその類のもので、しかも巨大だ。「船でしか行けない秘境」としてカヌーイストにとっては憧れの場所だったのである(参考写真参照)。なぜ「だった」のかというと、2010年ごろの台風直撃の影響もあってか、落石が近年非常に多くなり「崩落の危険性有り」ということで2011年に立入禁止になってしまったのである。

「もう跡形もないかもしれん」と思いながらYouTubeで「伝宝洞」を検索していたら面白いものを発見した。なんと2015年に役所の調査検分に同行して、現地を撮影してきたという動画がアップされているではないか! 幸い哉、まだ崩落はしていないらしい。が、それですらもう2年も前のもの、現状はまったくつかめない。君津市の観光Webサイトにも「現在は訪れることはできません」としか書いてないのである。
 で、わたしは決心した。「よし行けるところまで行ってみよう! どうせ乗りかかった舟(カヌー)じゃないか! スカポン探検隊健在! 立入禁止看板の写真でも撮ってくるべ〜!」
 なんだかなあ……こまったお爺さん。

 亀山湖、笹地区湖畔公園に着いてびっくりした。水位が低い。カヌーの発着場所にも水が無い。1mは低いようだ。一瞬「隠れ杭に船体布を破られて沈没する自分」が瞼の裏に見えた。川ならいざ知らず、ダム湖の真中で浸水したら岸に漕ぎつくまでもたないだろう。悪い死に方じゃないが、体が臭くなるのが許せない。溺れるならやはり清流だ。
 泥濘の悪臭から逃れるように岸を蹴った。カヌーの底部と座席が泥だらけになり、気分が悪い。岸から100mほど漕いで漂い、濡れタオルで拭き掃除をする。靴も靴下も洗った。まるでタイとかベトナムの水上生活者だ。そう思ったらちょっと楽しくなった。なんでもものは考え様だ。
 地図を見て確認したにもかかわらず、まったくトンチンカンな方向へ30分も漕いでしまった。

 リルートして漕ぎ直し。ここしばらく雨が降っていないせいか濁りがやや減っている。水中を木の花類の細かい粒粒が無数に流れている。カヌーの動きを止めてみたがその流れは続いていたので、ダムとはいっても緩やかな水流があるのかもしれない。
 順調に漕ぎ進む。今は藤の花が見ごろだ。黄緑と紫は補色関係である。実に美しい。60cmぐらいの鯉がウジャウジャいる。もうすぐ“のっこみ”の季節だ。鯉の恋なんちゃって。
 200m先が突然行き止まりになった。水が無い。川の中州のように盛り上がっている。しかもその中洲のような場所にすでに水生植物がいっぱい生えているのだ。低灌木も見える。水位が低いのももちろんあるが、たった数年で泥や砂がこれほど堆積してしまうものだろうか? 泣いても笑っても引き返すしか手が無かった。
 結局、立入禁止のロープが張ってある場所までも到達できなかった訳である。何度も何度も地図を確認したが間違ってはいない。おそらくあと100か200mぐらいのところに来ている筈だった。


 ドローンを買おうかと思う。だって悔しいじゃないか、上から観てみたいよ。