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熊は恐いものなのですヨ
2018年06月11日(月)「6月のショック@」

 昨日の夜の事だ。18時で仕事を終え、かっ飛びで帰宅、犬散歩を済ませて、自分と妻の分の野菜サラダを作っていると、ちょうどNHKの「ダーウィンが来た!」が始まった。積極的にテレビを見る方ではないが、そのあとに「西郷どん」があるので早めにスイッチオンしてあったという訳だ。サラダの具材をつまみ食いしながらすでに一杯やっていたので、まあ“至福の時”を過ごしていたと言ってもいいだろう。
 昨日の「ダーウィン〜」は「月の輪熊」の話で、1匹のメスの成長を追い続ける形で進行していった。
「ヒグマに比べりゃあ可愛いもんだなプーさんは……」
 わたしは一人で笑っていた。真剣に観ていた訳ではないので、馬鹿丸出しである。
 しかし次の瞬間、わたしの目は画面に釘付けになってしまった。
 熊が熊を食っていたのだ。

 母熊と2匹の子熊が日向ぼっこをしている所へ、体のひときわ大きなオス熊がやって来たのである。しかも発情している。子育て中のメス熊は発情しないので、とにかく発情オスを追っ払おうとするのだが、力の差が有りすぎてなかなか完全には撃退できない。なので何度も何度も執拗に「やらせろ、やらせろ」と襲って来るのだ。
 そして何回目かの襲撃でついに発情オスの攻撃目標が子熊の方に変わったのである。抵抗など出来るはずもない。1歳に満たない2匹の子熊は結局あっさりと簡単に殺されてしまった。それどころかこともあろうに母熊の目の前で無惨にもバクバクと食われてしまったのである。
 発情オスの口から子熊の内臓らしき赤い物が垂れていて、わたしは思わず吐きそうになった。NHKにしてはずいぶん思いきった映像だったし、しかも飯時だ。ズームアップまでしてくれちゃって……。

 解説によると、母熊から子供を奪いさえすれば再びメスが発情し、自分を受け入れるだろうとオス熊は考える(本能的に)のだという。「オスの子殺し」と呼ばれていて、割によくあるケースとのことであった。いやはや凄まじい生殖本能である。
 そして悲しいかな……子熊を失ってから1週間ほども経つと、我が子を殺して食べてしまった発情オスを、自ら進んで受け入れてしまうケースもまま有るということなのであった。
 より強い子孫を、より多く残さねばならない野性動物の世界は想像を絶する厳しさである。フィジカルが全てなのである。そう考えると崇高でさえある。
「悲しいかな」は人間(わたし)の甘い価値観から出た失言であるような気になってしまった。

 ショックを受け、真ん中あたりからは真剣に観たせいで、月の輪熊にすっかり詳しくなってしまった。
「山で遭遇したらヒグマは無理だろうが、月の輪熊なら鉈1本で戦えそうだ」などと普段から豪語していたのだが、改める事にした。「地震・雷・火事・オヤジ」のオヤジは一説によると月の輪熊の事らしい。平均身長1.5mでも熊は熊だ、逃げるに限るのである。
 そうだ、いまさらだが、足柄山の金太郎はすごい。なんたって相撲で勝っちゃうんだものなあ。